2014 Fiscal Year Research-status Report
津波や豪雨により長時間浸水した木造住宅の耐震安全性
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25420583
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
田中 圭 大分大学, 工学部, 助教 (00325698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 拓郎 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (00335225)
井上 正文 大分大学, 工学部, 教授 (60128337)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 浸漬 / 津波 / 枠組壁工法 / 壁倍率 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年3月11日の東日本大震災では、多くの住宅が津波による浸水を受けたものの構造的な被害は免れた。また、東海・東南間・南海連動地震の新しい被害想定では、東海から九州に至る太平洋沿岸で最大36mもの津波到達が予測されている。この地域は、平野部に都市圏を抱えるため仮設住宅で対応できる規模を大きく上回る住宅が浸水することが予測される。これを踏まえ、数時間から数日間水没を経験した木造住宅が余震の続く状況下で再使用が可能か、学術的に検証する必要がある。本研究では、津波や豪雨被害により長時間浸水した木造住宅の耐震安全性について実験的に検証することを目的としている。 本年度は、枠組壁工法住宅が津波による被害を受けた場合の耐震性能の把握を目的とし、2P枠組壁工法耐力壁の海水による浸漬処理及び水平せん断実験を行い、その耐震性能評価を行った。 床上浸水を想定した高さ(試験体下端から約800mmの高さ)まで試験体を浸漬できるよう海水を水槽に溜め、24時間浸漬を行った。浸漬後は、通風環境または密閉環境で養生を行った。通風環境での養生は、温湿度無調整の室内で行い、密閉環境での養生は、内外装の仕上げの施工により、壁体内で乾燥が進行しにくい状況を想定して試験体全体をビニールシートで包み、密閉することで外気を遮断し密閉環境とした。なお、試験体は各条件3体、計12体とした。3か月養生した試験体では、養生条件にかかわらず、枠組材の浸漬部分にカビ、釘頭に赤さびが見られた。 水平せん断実験の結果、壁倍率は、1日養生後にわずかな低下が見られたが、3か月経過後は養生環境にかかわらず、コントロール試験体と同等の値まで回復する結果となった。 さらに長期的な影響を考慮すると、釘のさびの進行による接合部の耐力低下、木材の腐朽などが懸念されるため、実際に使用する際にはさらに長期間を想定した場合の検討を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の在来軸組構法、本年度の枠組壁工法と我が国で代表的な構法についての実大耐力壁での耐震性の検証は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は各種接合部の要素試験及び現在養生中のさらに長期養生の試験体についてのつい試験を実施し、最終報告を取りまとめる予定である。
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Research Products
(4 results)