2013 Fiscal Year Research-status Report
レオロジーに基づくフレッシュコンクリートの施工設計法確立のための基礎的研究
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25420585
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山田 義智 琉球大学, 工学部, 教授 (80220416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎原 康平 琉球大学, 工学部, 助教 (20647242)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フレッシュコンクリート / レオロジー / 水和生成物 / 凝集 / 有限要素法 / MPS法 / スランプロス |
Research Abstract |
平成25年度の研究実績は,以下の3項目である。 1. フレッシュコンクリートの流動性に大きな影響を及ぼすセメントペーストのレオロジー特性を把握することを目的に,(1)セメント粒子の形状,(2)セメント粒子の粒度分布特性,(3)水和生成物量(注水からの経過時間),(4)セメント粒子の凝集,(5)ペースト温度の5項目を実験変数として,ペーストの見掛けの粘度を測定した。その結果,今回の実験の範囲では,溶媒(水)粘度の温度依存性がペースト粘度に影響を与える事や,水和生成物であるエトリンガイトと見掛けの粘度に相関が有る事,特にセメント粒子の凝集が見掛けの粘度の増加に影響を与えることが示された。 2. ペースト温度上昇と経過時間の経過に伴って,ペーストの見掛けの粘度が変化することを実験的に示し,その見掛けの粘度からコンクリートのレオロジー定数(降伏値と塑性粘度)を推定する手法を提案した。この推定手法を利用して暑中環境下におけるスランプロスを有限要素法解析により推定したところ,実際に観察される暑中環境下でのスランプロスの傾向を示すことができた。 3. 粒子法の一種であるMPS法を用いてフレッシュコンクリートの流動解析プログラムを開発した。このMPS法解析プログラムを用いて,鉄筋間隙におけるフレッシュコンクリートの流動挙動を解析的に再現したところ,既往の研究では考慮されていなかった鉄筋による流動停滞域の存在が確認され,この領域が生じることで既往の研究結果とは異なる鉄筋間のコンクリートの流動閉塞に関する知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,フレッシュコンクリートの合理的な施工設計法の確立を目指して,セメント系材料の流動特性をレオロジーに基づいて検討している。平成25年度の目標成果としては,以下の3項目を達成した。 (1)各種要因がペーストの見掛けの粘度に及ぼす影響 (2)ペーストの見掛けの粘度からコンクリートのレオロジー定数(降伏値と塑性粘度)を推定する手法 (3)MPS法を用いたフレッシュコンクリートの流動解析プログラムの開発。 当初の目標に掲げていたMPS法を用いた並列計算手法の開発は,解析精度や計算効率の検証が不十分なままであるが,上記3項目は達成されており,研究の進捗はおおむね順調であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,振動負荷による流動性の変化や鉄筋間で生じる流動閉塞問題への実験的および解析的検証を行う予定である。具体的には円筒内に充填したセメント系材料に振動を与え,その時のセメント系材料の流下速度等を計測することに加え,数値解析を用いた解析的検討を併用することにより振動下におけるレオロジー定数の変化を推定する。また,鉄筋周りを模擬した可視化実験を行い,鉄筋周りで生じる骨材とペーストの流動挙動を考慮した流動構成式を提案する予定である。 研究最終年度である平成27年度は,幾つかの調合のフレッシュコンクリートを使用した小型型枠打設試験を実施して,前年度までに提案・開発した流動構成式と流動シミュレーション手法の有効性の検証を行う予定としている。また,ここでは,分散メモリ型のプロセス並列計算技術で大規模計算を可能にしたMPS法の効率化および実用化についての検討も行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分担研究者側での使用にあたり,2,141円の残金が残った。この残金を無理に使わず,次年度に有効利用するために残した旨の報告があった。 平成25年度に残った次年度使用額2,141円も含めて適正な使用を行う。
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Research Products
(5 results)