2014 Fiscal Year Research-status Report
建築物への投入資源量と建設エネルギーの各国比較とその要因分析に関する研究
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25420605
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
横尾 昇剛 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40272223)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Embodied energy / Embodied CO2 / 積み上げ方 / 産業連関表 / インベントリデータ / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
各国の建設に起因するエネルギー、CO2(Embodied energy, Embodied CO2, 以下EE,ECとして標記)に関する研究事例調査と建築物のEE、ECを評価するうえでの現状のデータベース、分析方法の課題の整理に基づき、建物の評価の試行を行った。 マクロ分析として世界の産業連関表に関する分析を行い、建築分野のEE、ECの傾向を明らかにし、発展途上国におけるEE、ECの割合が大きく、こうした国々における対策が重要であることを示した。また日本、カナダ、中国の産業連関表の分析を行い、建築物の建設に関連する主要部材、材料ごとのエネルギー消費量、CO2排出量、資源投入量を価格当り、物量あたりの原単位として整理した。オフィスビルを対象に、日本、カナダ、中国におけるオフィスビルを対象にEE、ECの分析を行った。また各国の建築部材の原単位を用いて、それぞれの国の建物を評価することで、各国の建物の設計の違いによる影響、原単位による影響について定量的に明らかにした。 オフィスビルおよび住宅を対象に建物の延べ床面積を求め、投入資材量の推計を行った。建築部建設の投入資材量と主要部材料の原単位を用いることにより、建築物の建設に伴うエネルギー消費量、CO2排出量を求めた。これらの数値を物量あたり、価格あたり、面積あたりの指標としての原単位として整理した。 EE、ECの低減方策の一つとして、建物の長寿命化が重要であると判断し、ケーススタディーとして建物の長寿命化を図った場合のEE、ECの低減効果を明らかにした。ここでは、長寿命化として、躯体量の増加分や環境配慮による部材量の増加分を計り、その増加に伴うエネルギー消費量、CO2排出量を求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度実施した研究から、世界各国のEmbodied energy, Embodied CO2に関する分析手法、データベース、建物評価方法が、想定よりも国ごと、研究者ごとに大きく異なり、その結果として評価データにも大きなバラツキがあり、こうした状況についての要因を注意深く考察する必要が生じたことにより、追加的な調査、ヒアリングが必要な状況である。またそうしたことから、建物のEmbodied energy, Embodied CO2評価の試行について、一部のオフィスビルと住宅に限っての実施に留まっており、次年度に向けて、他の用途建物、複数建物での評価実施を推進する。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の研究者との連携、特に世界16ヶ国のEE、EC研究者との繋がりが出来ており、共通の調査フォーマットによるEmbodied Energy, Embodied CO2分析の不確定要因に関する追加調査、追加データの収集を効果的に行う。また先進的なデータベース、先進的なEmbodied energy, CO2低減方策検討を進めている研究者との意見交換を進めるとともに、建築設計の実務者、建築技術者、建材メーカーなどの関係者からのEmbodied energy、Embodied CO2評価に関するニーズを明らかにし、それらを踏まえた評価ツールの構築を行う。
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Causes of Carryover |
海外事例調査として、予定していた海外研究者との打ち合わせとしての海外出張が、先方の都合で日程が合わず出来なかったため、次年度において追加の海外事例調査を計画的に実行する。費用は当該出張に使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、下記の項目について費用支出を行う。(1)EE、EC先進海外事例調査としてスイス連邦工科大学へ海外出張費。(2)データベース開発整備としてサーバー費およびソフトウェア開発費。(3)研究成果発表としての国内学会発表および国際会議での発表のための旅費。
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