2013 Fiscal Year Research-status Report
都市縮減社会における区画整理と新たな市街地整備手法の開発検討
Project/Area Number |
25420622
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
今西 一男 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (40323191)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都市縮減社会 / 土地区画整理事業 / 市街地整備 / 「土地区画整理事業を施行すべき区域」 / 地方都市拠点駅前開発 / 条件不利住宅地 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「都市縮減社会」における人口や経済の規模縮小に伴う土地需要の低下をふまえた、住民主体による新たな市街地整備手法の開発を行うことである。本研究では、この整備手法の開発・検討の素材として、市街地整備の目標を描き、公共施設の整備から個々の権利調整までを住民参加で実現しうる土地区画整理事業に着目している。区画整理は代表的な市街地整備手法だが、人口や経済の規模縮小に伴う土地需要の低下が見られる今日、整備・開発を投資と見なすその事業モデルの改善が求められている。 この状況に対し、本研究は三つの研究課題を設定し、各年度一つずつ検討する。さらに各年度を半期(ステップ)に分け6段階で研究を行う。平成25年度は「研究課題(1)都市縮減社会における市街地整備手法、特に区画整理の課題検討」を扱い、以下に示すステップ1・2の研究を実施した。 ステップ1:都市縮減社会の概念の細密化と研究フレームの確定…本研究の背景となる人口や経済の規模縮小という状況に関する既存の研究や統計を収集、検討した。 ステップ2:都市縮減社会において生じる市街地整備手法、特に区画整理の課題検討…都市縮減社会の到来が区画整理にもたらす課題について既存の研究や統計を参照するとともに、具体的な事例も交えて検討した。 特に事例は三大都市圏と地方都市圏に分けて検討した。前者は都市計画決定から40年以上を経ても整備率が50%以下に止まる東京都周辺区部9区における「土地区画整理事業を施行すべき区域」の整備課題について、調査票調査を実施するとともに杉並区での事例研究から検討した。後者は区画整理が適用されながら市街地整備に矛盾が生じる地方都市拠点駅前開発の実情について山形市を中心に、また、区画整理を本来適用すべき市街化区域内にあって整備・開発の手が及ばない条件不利住宅地の粗放化の実態について福島市を中心に、それぞれ検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示したとおり、平成25年度はステップ1・2の研究を実施した。ステップ1に関しては当期のみで完結する内容ではなく、引き続き既存の研究や統計を収集し、検討を重ねていく必要がある。したがって継続課題であり、現状において可能な情報収集はなされているという観点から、「おおむね順調に進展している」と評価した。 ステップ2に関しては今日における区画整理の課題を検討するという内容であるが、三大都市圏と地方都市圏という都市規模に基づく区分を設けて、前者では「土地区画整理事業を施行すべき区域」、後者では地方都市拠点駅前開発と条件不利住宅地という特徴あるトピックスを抽出できた点で良好な進捗状況であったと考える。ただし、地方都市拠点駅前開発の事例については平成25年度中に論文を公表するに至ったが、「土地区画整理事業を施行すべき区域」の事例については平成26年4月に論文を投稿完了、条件不利住宅地の事例については同年6月に論文を投稿予定という段階で、公表には至っていない。その点を勘案した上で、研究自体は計画どおりに進行していることから、「おおむね順調に進展している」と評価することが妥当と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度におけるステップ1・2の研究はおおむね順調に進展したので、当初の研究計画に即して平成26年度以降の研究も推進する予定である。そのためにも、現在までの達成度に示したとおり、平成25年度から引き続き既存の研究や統計を収集するとともに、行った研究の成果を論文等として公表したい。 その上で、平成26年度は「研究課題(2)条件不利といえる市街地の住民主体による整備の成立条件検討」を扱う計画である。そのステップ3・4の内容・推進方策は以下のとおりである。 ステップ3:都市縮減社会において条件不利といえる市街地の把握と住民主体の整備事例調査準備…ステップ2のとおり、三大都市圏と地方都市圏の別に都市縮減社会の到来が区画整理にもたらす課題を整理した。これをふまえ、それぞれではなぜ市街地整備が進まないのか。地方都市圏で検討した条件不利住宅地という市街地の状況も手がかりとしながら、「条件不利」という概念の細密化や、そうした市街地の分布状況を都市計画基礎調査等も用いながら把握する。そして、そうした市街地での住民主体の整備事例調査の準備として、実例の収集に注力する。 ステップ4:都市縮減社会において条件不利といえる市街地での住民主体の整備事例調査…ステップ3で行う事前準備をふまえ、住民主体により条件不利といえる市街地での整備事例がどの程度あるのか、また、その成立条件とはどのようなものか調査を行って把握する。調査対象とする基礎自治体への調査票調査及び聞き取り調査、当該事例を担った住民への聞き取り調査を行い、新たな市街地整備手法の事業モデル開発・検討の際の知見を得る計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度において計画的に使用していたものの、見積額よりも安価に入手できた物品等があり、残額が生じた。 平成26年度においても引き続き文献や統計等を収集するので、その購入に充てるよう使用したい。
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Research Products
(2 results)