2013 Fiscal Year Research-status Report
地方小都市での“都市じまい型まちづくり”に対応する土地利用管理のあり方
Project/Area Number |
25420640
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉武 哲信 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70210672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶田 佳孝 東海大学, 工学部, 准教授 (30284532)
出口 近士 宮崎大学, 工学部, 教授 (70117175)
寺町 賢一 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70294882)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都市じまい型まちづくり / 都市計画マスタープラン / 未策定自治体 / 土地利用規制緩和 |
Research Abstract |
初年度の研究計画は次の3点である.1)小規模非線引き都市計画区域に関する基礎資料(用途面積,人口等)をデータベース化する。2)全国の都道府県を対象として土地利用規制緩和型見直し指針の有無を調査する.3)データベースから規制緩和措置を実施したと推察される自治体に対し,緩和策の背景,検討事項,現在での評価および都市計画事業・都市マス策定状況等を問い,“都市じまい”の内容とそれを指向する自治体の類型化する. 1)については全国の人口5万人以下自治体を対象に,平成13,18,23年度都市計画年報のデータベース化を終了した.次いで3)の第1段階として,都市計画区域面積,用途地域面積の変化を調査した.この結果,土地利用規制緩和措置が顕在化している自治体は極めて少ないことを明らかにした.なお,2)については2年目に実施する. 3)については土地利用規制緩和措置の事例からではなく,都市計画のビジョンすなわち都市計画マスタープラン(都市マス)の位置づけから“都市じまい”の潜在的可能性を探ることとした.具体的にはまず九州地域全自治体を対象に,都市マスの策定(既改訂・未改定)・未策定状況を調べ,次いで未策定自治体を対象に,人口や面積,都市マス未策定に伴う代替措置,都市マス策定の必要性の認識,さらに都市計画関連事業との関係を分析した. この結果,都市マス未策定は人口7万人以下の自治体で多く見られること,未策定に伴うデメリットはさほど認識されていないこと,未策定に伴う代替的措置を有する自治体は少ないこと,一方で,都市マス策定は都市の将来像の確定と提示のために必要としている自治体も多いことも明らかにした.このギャップが都市マス,ひいては都市計画のあり方が揺らいでいることを示すと考えられる.すなわち,次年度において“都市じまい”はこのような自治体を対象として検討すべきとの結論を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の現在までの達成度は「おおむね順調に進展している」と判断している.その理由を以下に示す. 研究実績概要に示したように,当初の本年度予定の3つの研究計画のうち1つめのデータベース作成については完了している.3つめについては,データベースに基づく分析の結果,当初想定していたより都市計画区域,用途地域の縮小・緩和的変更の事例が少なく,これに対応するために“都市じまい”研究の糸口として都市マスの策定状況と未策定自治体の都市マスに対する考え方を調査・分析したところである.この結果,都市マス未策定の自治体の考え方から,都市マスの現実的な必要性と理念的な必要性の間にギャップがあることを明らかにでき,2年目は,このような自治体を対象としてその考え方を探る方向性を定めることができた.ただし,2つめとして当初予定していた全国の都道府県を対象とした規制緩和型見直しの指針に関する調査は,研究代表者の異動もあり実施できてはいない。これは2年目の初期段階で実施する. なお,1年目の成果については,現在学術論文としてとりまとめ中であり,近日中に関係学会に投稿予定である. 以上のように,当初の研究計画の一部を修正ものの,それに応じた成果は得られ,次年度の研究に向けての準備も整っている.ただし,研究計画を修正したこと,規制緩和型見直しの指針調査の実施が遅れたこと,学術論文のとりまとめが2年目になったことがあるため,以上をもって「おおむね順調」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目はまず,1)1年目で実施できなかった規制緩和型見直しの指針に関する調査を早急に実施する。その上で,2)指針を有している自治体および1年目のデータベース分析から特定された土地利用規制緩和措置を指向している可能性があるごく少数の自治体については,a)緩和策が“都市じまい”を指向したものであるか,指向するものであればb)緩和策の具体的内容,c)緩和策導入に当たっての検討事項や議論の経緯,現時点での効果・課題の評価等,d)今後の“都市じまい”の段階的方向性をヒアリング調査する. 次いで,3)1年目の都市マスに関する調査から抽出された自治体の類型(都市マスの必要性が希薄なタイプ,都市マスの現実的必要性と理念的必要性に齟齬があるタイプ等)に基づきながら,改めて都市マスおよび都市計画に対する自治体の考え方をヒアリング調査により分析する.ただし,この調査は全国自治体を網羅的に実施するのではなく,1年目の都市マスに関する研究成果および上記1),2)の結果も踏まえ,代表的な自治体に対象を絞って詳細な調査を実施する. 研究体制は,研究代表者(吉武),研究分担者(出口・梶田・寺町),研究協力者(梶原)は昨年と同様であるが,研究代表者は大学院生1名,卒論生2名を配置する.また,研究分担者(梶田)も卒論生1名を配置するものである.調査内容の詳細設計は,研究代表者が研究分担者(出口),研究協力者の支援を受けて行い,調査は研究代表者および研究分担者(寺町・梶田)が実施する.分析については研究代表者,研究分担者(梶田)がそれぞれの学生の支援を受け実施する予定である.
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