2015 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ東部都市のロウハウスにおける都市景観構成メカニズムの研究
Project/Area Number |
25420681
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
市原 出 東京工芸大学, 工学部, 教授 (20267529)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ロウハウス / 街路構成 / 街路景観 / フィラデルフィア / ボストン / 接地の作法 / 持続性 / 形態要素 |
Outline of Annual Research Achievements |
2013、14年度に行った現地学術調査でロウハウスの図面を収集し、そのデジタル化と歪み補正を完了した。また、対象街区の実測調査のデータから街区を形成するロウハウス群の具体的スケールを把握するとともに、連続立面写真を作成した。2015年度はそれらに基づき、また再々度の現地学術調査で新たに得た資料から、1、内部の図面が得られた対象ロウハウスについて、その街路空間を形成する形態要素の抽出とそれによる街路との関係の捕捉し、2、対象街区全体の街路空間の形成過程とその空間的特徴を把握した。その結果、それぞれの項目について以下のことが分かった。 1、ロウハウスの内部空間構成と街路との関係:イギリスの原型と比較して内部空間自体の構成に変形がみられる。また、街路と関係づける形態要素には、例えばストゥープ(街路レベルより一段高い玄関にアクセスする外部階段)の規模がボストンにおいては拡大、フィラデルフィアにおいては縮小の傾向がある等、様々な特徴がある。そのことはロウハウスが街路空間と接する形態要素の規模や形式に直接的に影響している。 2、街路の空間的特徴:計画された比較的大きな街区が様々に細区分されて街区内街路構成自体が多様性をもつ。また、街路に階層性と空間的分節が見られ、その素材や形態要素のあり方は地区と関連している。 街路空間は街路面と両側のロウハウスの外壁面の3面で形成されるU字型の空間と捉えることができる。ここではストゥープ、地階開口、前庭等の形態要素とその素材によって外壁面と歩道面によるL字型の空間がまず形成され、それらが組み合わされることで多様な街路空間を構成していることが分かった。建築物がまず地面と関係づけられること、そのことを「接地の作法」と呼んだ。建築物と道路とをそれぞれ自律的なものとする近代的な考え方とは異なる街路構成、街路景観の実際を記述した。
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