2013 Fiscal Year Research-status Report
元素ドーピングによるアルミン酸カルシウム・エレクトライド単結晶の電子活性機能創製
Project/Area Number |
25420708
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
田中 功 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (40155114)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アルミン酸カルシウム / エレクトライド / 単結晶育成 / FZ法 / ブリッジマン法 |
Research Abstract |
In等の稀少金属を用いない透明導電体や高効率電子放出材料の開発を目指して、アルミン酸カルシウム(Ca12Al14O33;以下、C12A7と略す)中に遷移金属元素や希土類金属元素をドープしたC12A7高品質バルク単結晶を育成し、その育成結晶を用いて熱処理により高伝導率のエレクトライド結晶を合成する条件を明らかにするとともに、元素ドーピング効果を詳細に調べることでITOに匹敵する高導電体発見の手がかりを掴むことを目的としている。また、C12A7エレクトライド単結晶を直接に育成する方法についても検討して、高品質C12A7エレクトライド単結晶の直接合成を行っている。 平成25年度は、(1) C12A7中への遷移金属元素や希土類元素の固溶領域の検討、(2) 熱処理をせずにC12A7エレクトライド単結晶の直接育成を実施した。Yをドーパントとして選択して、Caサイト置換を試みた。 焼結法により5at%Yまで置換した結果、2at%Yでは異相が観測されなかったが5at%Yでは異相が析出しており、Y濃度の増加とともに格子定数が減少したことから2~5at%Yの間に固溶限界があることがわかった。また、溶融凝固した試料の格子定数測定の結果より、分配係数が1より小さいことが推測された。 C12A7エレクトライド単結晶の直接育成はカーボンルツボを用いて垂直ブリッジマン法により行った。C12A7化学量論組成の原料を用いて結晶育成を行ったところ、育成結晶は黒色不透明であったがCaの蒸発によりCaAl2O4相が異相として析出した。そこで、 原料中のCa濃度を増加して結晶育成を行った結果、約4 mol%CaO過剰組成において異相CaAl2O4が大幅に減少することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ブリッジマン法によるC12A7エレクトライド単結晶の育成においては、直接育成の可能性が得られており、研究目的を達成する目途が立った。しかし、Y置換C12A7において、厳密な固溶限界の決定や分配係数の決定に時間がかかっており、結晶育成の最適条件を決定するまでに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
Y置換C12A7において、厳密な固溶限界の決定や分配係数の検討を行い、その結果を基に溶媒を用いたTSFZ法による単結晶育成を行い、最適な育成条件を決定する。さらに、ほかの金属元素の置換についても検討する。 ブリッジマン法によりC12A7エレクトライド単結晶の育成において、最適育成条件の決定やSeed育成を行うことで高品質化を図る。また、得られた結晶の電導度測定など評価を行って育成条件との相関性についても検討する。
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