2015 Fiscal Year Annual Research Report
金属との相互作用を活用したグラファイト状窒化炭素の特性制御
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25420746
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
佐野 泰三 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 主任研究員 (30357165)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 窒化炭素 / 光触媒 / 有機金属半導体 / 層状化合物 / メチルメルカプタン / 高せん断混合 / グラフェン / 機能性材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
酢酸銀水溶液中で高せん断混合したグラファイト状窒化炭素(g-C3N4)は、メチルメルカプタン(MM)の吸着と光触媒酸化反応に高い活性を示すことを平成26年度に見出した。本年度は不明だったg-C3N4への銀の担持機構とメチルメルカプタンの吸着機構を解析した。 約25wt%の銀を含む酢酸銀をg-C3N4に添加して高せん断混合すると、金属銀の担持量が30wt%の試料が得られ、高せん断混合においてg-C3N4の一部が分解し、銀イオンが還元しながら担持されることが確認された。高せん断法では光電着法の4倍以上のMM吸着容量(1430μmol/g)を有する試料が得られ、最も高い光触媒除去率を示した。銀原子1個あたりに吸着するMM分子の平均個数は、高せん断法では0.59個、光電着法では0.14個、酸化チタン上の銀では0.03個であり、高せん断法で担持された銀は特異的に高い吸着量を示した。 電子顕微鏡写真(TEM)では、MM吸着前には直径5~20nmの半球状の銀ナノ粒子集合体が確認された。MM吸着後には、g-C3N4表面に薄く帯状にへばりついた銀ナノ粒子のみが確認された。MMが吸着すると銀ナノ粒子が移動し、多量のMMを吸着できる配置をとったと推察された。光照射後の銀はそれらの中間的な状態であり、光触媒反応でMMが分解すると、銀が再び半球状に戻る力が働くと推察された。他の担持法や酸化チタン上で形成された銀の移動は確認できなかった。 XPSで表面近傍の元素分析を行ったところ、銀は吸着、反応を通じて0価の銀であり、また、MM吸着後に銀(Ag3d)のピーク面積が増大することが確認された。MMの吸着にともなって銀が移動し、XPSで検出されやすい最表面に存在する銀の割合が増大したためと推察された。この結果はTEMの結果と一致し、高せん断法で得られる銀ナノ粒子が高い移動度を有することが示唆された。
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