2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25430031
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
須藤 文和 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 微細構造研究部, 室長 (40345848)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 神経 / 発生 / 発達 / プレキシン / 神経回路形成 / 情動行動 / 哺乳行動 |
Research Abstract |
動物の神経回路網は発生発達過程において規則的かつ特異性を持って形成され、これらの特性により個体レベルでの行動発現が制御されると考えられている。我々は軸索ガイド分子セマフォリンとその受容体であるプレキシンが扁桃体神経回路形成を制御していることを明らかにしている。本研究では、これらの知見をもとに扁桃体神経回路に異常を有するプレキシン遺伝子変異マウスを用いて、個体レベルでの解析を行った。その結果、プレキシン遺伝子破壊マウスでは、成体期において野生型マウスに比べ有意に体重が軽いことを見出した。さらに、これらの体重異常は生後直後では認められず、生後一週齢で有意な差が認められ、1ヶ月齢では顕著な差が生じていた。これらの結果は、プレキシン遺伝子が生後の発育過程に関与していることを示唆している。 プレキシン遺伝子破壊マウスは、神経回路形成や免疫系、骨形成などに異常が生じていることが明らかになっている。そこで、本研究で明らかにした成長異常が扁桃体神経回路異常に起因するか否かを明らかにするためには、扁桃体特異的にプレキシン遺伝子を破壊する必要がある。そのために、本年度はプレキシン遺伝子を条件的に破壊するためのマウス(コンディショナルノックアウトマウス)の作成を進め、ターゲティングベクターをもとにES細胞に対して標的組換えを行い、相同組換え体を2ライン作成した。現在、キメラマウスの作成を進めている。また、生後マウスにおいて扁桃体神経線維の接続を解析するための手法として、脂溶性蛍光色素を用いた軸索トレスー法と軸索線維を染色する抗体の選定を行い、解析系を確立させた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、プレキシン遺伝子の個体レベルでの異常について、異常の生じる時期をほぼ同定することができ、今後の解析に有用な情報を得ることができた。また、コンディショナルノックアウトの作成を進めることができ、さらに、解剖学的に神経線維走行を調べるための解析を確立できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
扁桃体神経回路が寄与しうる行動様式に着目して、行動学的な解析を進める。特に生後の成長に重要な哺乳行動や、母子間コミュニケーションを中心に解析を進めるとともに、成体マウスでの情動行動の解析を行う。また、コンディショナルノックアウトマウスの作成を進め、作成出来次第、扁桃体特異的な遺伝子破壊と遺伝子破壊による神経回路改変が生じているかを確認する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度において、遺伝子改変動物の購入費及び施設導入費を予定していたが、この動物の納期が次年度にずれ込んだため、次年度使用額が生じた。 年度前期に遺伝子改変動物の購入費、施設導入費を使用し、年度全般を通じて、実験動物購入費、分子生物学的解析用試薬、組織解剖学的解析試薬の購入費として使用する。さらに、年度前期に学会旅費を使用する。
|
Research Products
(1 results)