2013 Fiscal Year Research-status Report
脳白質におけるリン酸化とメチル化をキーとしたうつ病発症機構の解明
Project/Area Number |
25430079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
宮田 信吾 近畿大学, 東洋医学研究所, 准教授 (70403194)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タンパクメチル化 / リン酸化 / 慢性ストレス / 脳白質 / うつ症状 / ランビエ絞輪 |
Research Abstract |
本研究は、オリゴデンドロサイト特異的なストレス応答機構を明らかにする上で、リン酸化及びメチル化シグナル変化による器質的変化の制御機構を解明し、白質機能維持によるうつ病の治療応用へと展開するための研究基盤を確立することが目的である。 平成25年度は、まず、ストレスにより特異的に活性化するリン酸化シグナルの同定を行った。常時活性型、非活性型のPDK1変異体を強制発現するためのベクター作製を行い、PI3Kの下流でPDK1が活性化する重要性の検討を行った。その結果、ストレス時にリン酸化が亢進するSGK1、NDRG1のリン酸化レベルの亢進を観察した。さらに、このPDK1リン酸化時にはグルココルチコイド受容体とPI3Kの結合が観察された。 次に、メチル化シグナルがストレスにより活性化するのか否か検討を行った。まず初めにオリゴデンドロサイトにおけるPRMTファミリーの発現レベルをrealtime PCRで検討したところ、神経特異的なPRMT8の発現は低く、PRMT1の発現レベルが高かった。次に、オリゴデンドロサイト中のストレスによる発現変動を検討した。その結果、PRMT1 mRNA の発現増加を観察した。 さらに、既に我々が見出しているストレスによるオリゴデンドロサイトの構造変化がランビエ絞輪に与える影響について、この領域に存在するマーカータンパク質を指標にした免疫染色法により検討した。その結果、ノードとパラノードとの境界は保たれていた。しかし、パラノード局在タンパク質とジャクスタパラノード局在タンパク質の共染色による検討から、境界領域において両者が共局在する事を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性ストレス負荷によるオリゴデンドロサイト特異的なストレス応答機構の詳細な検討を進める上で、必要なPDK1強制発現ベクターやsiRNAなどの準備が順調に推移しているだけでなく、免疫沈降法の安定化に大きく貢献するキットの選択も既に終えている。さらに、各リン酸化抗体やメチル化抗体の使用条件検討も既に行った。 オリゴデンドロサイト特異的シグナル伝達機構に関しては、PDK1リン酸化の重要性について明らかにした。オリゴデンドロサイト構造異常による神経軸索機能への影響の検討については、ランビエ絞輪周辺タンパク質の局在異常とストレスの関連性について見出した。これらの結果は、初年度の当初計画にほぼ沿った内容に関する成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、うつ病発症に大きく関わる慢性的なストレス負荷特異的なリン酸化およびメチル化シグナル経路の探索をオリゴデンドロサイトに注目して行う。 まず、急性ストレスと慢性ストレスでのリン酸化およびメチル化シグナル経路の相違点について比較検討する。さらに、ストレス応答機構に非常に重要な役割を果たすグルココルチコイド受容体の動態について、免疫染色法や免疫沈降法などの手法を用いて核内および細胞質における慢性ストレスによる機能変化の有無を検討する。 さらに、ランビエ絞輪周辺タンパク質の局在異常とストレスの関連性について検討を進める。形態学的な変化を検討するため、電子顕微鏡を用いてランビエ絞輪周辺の構造を慢 性ストレスの有無で比較検討する。この構造変化が神経軸索機能に及ぼす影響を検討するため生化学的な検討として、神経活性と非常に関連するNa-K ATPase活性の測定、さらには髄鞘機能と関連するTBERS活性の測定などを行い、慢性ストレスによるうつ病発症に脳白質のオリゴデンドロサイトの構造異常及び機能異常が関与する可能性を追究する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
55万円程度で、マウス手術のためのステレオタキシスの購入と研究打ち合わせ費を予定していた。ステレオタキシスの購入は26年度に行う予定である。ステレオタキシスは2年目の購入で実験計画上支障が生じることがなく、研究打ち合わせは電気生理的解析の実験のために26年度に必要である。 26年度は、研究計画通りの実験を行うために、マウス用ステレオタキシス費として45万円、ストレス負荷マウス作製用マウスなどの動物購入費に10万円、免疫染色などの抗体関係費として45万円、ELISAなどの生化学的解析費に25万円、ストレスによる神経機能変化の検出のための電気生理的解析費として30万円、研究打ち合わせ費として10万円、論文投稿関係費などとして10万円を予定している。
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[Journal Article] DBZ, a CNS-specific DISC1 binding protein, positively regulates oligodendrocyte differentiation.2014
Author(s)
Shimizu S, Koyama Y, Hattori T, Tachibana T, Yoshimi T, Emoto H, Matsumoto Y, Miyata S, Katayama T, Ito A, Tohyama M.
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Journal Title
Glia
Volume: 62(5)
Pages: 709-724
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] XLMR protein related to neurite extension (Xpn/KIAA2022) regulates cell-cell and cell-matrix adhesion and migration.2013
Author(s)
Magome T, Hattori T, Taniguchi M, Ishikawa T, Miyata S, Yamada K, Takamura H, Matsuzaki S, Ito A, Tohyama M, Katayama T.
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Journal Title
Neurochem Int.
Volume: 63(6)
Pages: 561-569
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Suppressive effect of nobiletin, a citrus polymethoxyflavonoid that downregulates thioredoxin-interacting protein expression, on tunicamycin-induced apoptosis in SK-N-SH human neuroblastoma cells.2013
Author(s)
Ikeda A, Nemoto K, Yoshida C, Miyata S, Mori J, Soejima S, Yokosuka A, Mimaki Y, Ohizumi Y, Degawa M.
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Journal Title
Neurosci Lett.
Volume: 549
Pages: 135-9
DOI
Peer Reviewed
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