2014 Fiscal Year Research-status Report
広帯域共鳴X線溶液散乱法の開発によるタンパク質・生体膜の機能構造の解明
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25440063
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平井 光博 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (00189820)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タンパク質 / 折畳み / 共鳴X線散乱 / 吸収端 / 溶液 / 生体膜 / 複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度の水銀ラベルをしたリゾチームを用いた実験に引き続き,平成26年度は,Feの吸収端を用いた共鳴X線散乱実験の試料として,ミオグロビンを内包した脂質リポソームの測定を実施した。このリポソーム試料は,脂質成分として細胞膜表面に於いて分子認識や細胞接着などの機能を有する酸性糖脂質であるガングリオシドを含み,そのため,機能性ドラッグデリバリーシステムとして期待できる。薬剤モデルとしてミオグロビンを内包させ,リポソーム内でのそのタンパク質の存在状態を共鳴X線散乱により選択的に決定する目的で作成された。タンパク質内包リポソームのX線構造解析法は,それまでに報告されていなかったが,今年度行った実験と新たな解析法の確立によって,内部構造を含め解析可能である事を見いだしたため,論文として報告できた(J. Phys. Chem. B 2015, 119, 3398-3406, DOI: 10.1021/jp511534u)。Feの吸収端近傍において,入射X線のエネルギーを変化させて散乱データを取得し,散乱パターンのエネルギー依存性(共鳴X線散乱)を観測できた。 吸収端の異常散乱コントラストの変化による散乱パターンの変化の差分解析を行う事で,内包タンパク質の位置の選択的な同定を行う事が可能になると考えている。詳細な解析に関しては現在継続中である。また,十分な統計精度を得る必要が有るため,追試実験を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
吸収端近傍の入射X線のエネルギー変化に伴う溶質分子からの散乱強度変化が小さいため,統計精度,試料調整,解析法を含めたさらなる追試と検討が必要であるが,原理的な可能性に関しては十分確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在使用しているX線は所謂硬X線である。そのため,対象となる元素が金属原子に限られており,それらを多く含むタンパク質をターゲットとせざるを得ない。今年度は,利用している放射光施設でリン原子の吸収端の使用が可能となる予定であるため,脂質膜を中心的な試料として測定可能となる。十分な統計精度での観測か可能になり,共鳴X線散乱法の有効性を実証する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Crowding 環境下でのタンパク質構造の熱安定性2014
Author(s)
Mitsuhiro Hirai, Shouki Sato, Masaaki Sugiyama, Noboru Ohota, Lionel Porcar, Anne Martel, Giuseppe Zaccai
Organizer
第52回日本生物物理学会年会
Place of Presentation
札幌コンベンションセンター
Year and Date
2014-09-25 – 2014-09-27
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