2013 Fiscal Year Research-status Report
プロテアソームの空間制御を司る分子基盤と制御機構の探求
Project/Area Number |
25440093
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
武田 鋼二郎 甲南大学, 理工学部, 講師 (90426578)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タンパク質分解 / 分裂酵母 / プロテアソーム / 細胞周期 |
Research Abstract |
分裂酵母のプロテアソーム核局在化因子であるCut8を中心とした研究をおこなった。申請時の計画のうち、平成25年度には、(1) Cut8と相互作用するタンパク質の同定、(2) Cut8を制御するリン酸化ネットワークの理解、に関して以下のような成果が得られた。 (1) Cut8をbaitとし、分裂酵母のcDNAライブラリーに対して酵母Two-hybridスクリーニングを行い、Cut8と物理的に相互作用する因子の同定を試みた。400,000個以上のコロニーをスクリーニングし、再現性よくCut8と強く相互作用する5つの因子Ceb1~5 (Ceb: Cut Eight Binding)、弱く相互作用する因子を4種類単離することに成功した。Cut8と強く相互作用する因子にはCut8そのものが含まれているが、Cut8がホモダイマーを形成する事は報告済みであり、今回のTwo-hybridスクリーニングが生理的に意味のあることを示唆する結果である。分裂酵母からヒトまで高度に保存されているCeb1に関しては、さらに解析を進めるため、エピトープタグ株の作製、遺伝子破壊株の作製、その表現型の解析を行った。一方、生化学的にCut8と相互作用する因子を同定する試みはCut8の可溶性の問題が解決されず、あまり進展がなかった。 (2) cut8変異体と遺伝学的に相互作用するキナーゼCek1と、Cek1と高い相同性を示すホモログPpk18とPpk31の機能に関して研究を行った。また、これらは高等真核生物におけるGreatwall(Gwl)のオルソログと考えられるため、Gwlの基質として知られるα-Endosulfin (ENSA)と相同性を示す分裂酵母Myg134タンパク質についても研究を進めた。エピトープタグ株の作製、遺伝子破壊株の作製が終了し、Cut8との機能的関連を解析する手だてが整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Two-hybridスクリーニングによるCut8相互作用タンパク質の同定と解析、cut8変異体と遺伝学的に相互作用するリン酸化シグナルネットワークの解析に関してはおおむね順調に進んでいるが、生化学的にCut8複合体を精製・同定する計画、およびCut8タンパク質量のTORC1による制御機構の研究に関しては、あまり順調とは言えず、「やや遅れている」との自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
酵母Two-hybridスクリーニングによって同定されたCebタンパク質群の機能解析を進める。特に保存性の高いCeb1に関しては、既にGFPなどのエピトープタグ株の作製、cut8変異体との二重変異株の作製が終了しており、平成26年度以降はこれらの実験材料を用いて機能解析を進める事で良い結果が得られると期待できる。研究の進展具合によっては、Ceb1に集中することが必要になるかもしれない。 Cek1、Ppk18、Ppk31、Mug134などのCut8との機能的関連が予想されるリン酸化シグナル経路因子に関しては、出芽酵母、アフリカツメガエルなどで報告されているGwl-ENSA-PP2A (Proteinphosphatase 2A)経路が分裂酵母においても保存されているか否かを、まず明らかとした上で、Cut8との機能的な関連について研究を進める方針である。これらのGwl経路とTORC1との間に機能的連関があることは出芽酵母の研究から示唆されているので、Cut8とTORC1との関係性を明らかにする上でも、分裂酵母のGwl関連因子の研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者が平成25年度に異動したため、新規研究室の立ち上げが完了し実験環境が整うまで時間を要した。結果、Cut8複合体を生化学的に精製する計画の進展が遅かったため、当初、予定していたタンパク質の大量精製実験を平成25年度には実施しなかった。研究進捗状態に留意して、使用を予定していた抗体や各種キットなどの購入を見送ったため、予算執行額が当初予定に満たなかった。 異動のため、使用を予定していた機器を日常的に使用できなくなり、研究の進展に不便が生じている。すべての機器を購入するには予算が足りないので、平成26年度は、消耗品以外にも、優先度の高い機器の購入を検討する。
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