2014 Fiscal Year Research-status Report
プロテアソームの空間制御を司る分子基盤と制御機構の探求
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25440093
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
武田 鋼二郎 甲南大学, 理工学部, 講師 (90426578)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | タンパク質分解 / 分裂酵母 / プロテアソーム / 細胞周期 / キナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
分裂酵母のプロテアソーム核局在化因子Cut8およびCut8と機能的に関連する可能性のある因子に関して研究をおこなった。申請時の計画のうち、平成26年度には、Cut8を制御するリン酸化ネットワークの理解に関して、以下のように研究を大きく進展させることが出来た。 Cut8と遺伝学的に相互作用するSer/Thrタンパク質キナーゼCek1と、Cek1と高い相同性を示すホモログPpk18とPpk31の機能解析をおこなった。これらのタンパク質キナーゼは高等動物におけるGreatwallキナーゼ(Gwl)のオルソログと考えられ、Gwlの基質として知られるα-Endosulfine(Ensa)と高い相同性を示すMug134タンパク質も研究の対象とした。遺伝学的および生化学的実験から、(A) Cek1とPpk18が高等動物のGewlに相当し、Mug134をリン酸化すること、(B)リン酸化されたMug134は、B55サブユニットを持つ2A型タンパク質ホスファターゼ(PP2A_B55)を特異的に阻害すること、(C) 以上の反応は細胞周期から逸脱し、細胞分裂を停止する時期であるG0期への進入と細胞寿命の維持に必須であること、を示した。以上の結果は、学術雑誌への投稿準備中である。PP2A_B55とCut8およびプロテアソームとの機能的連関を示すこと、プロテアソームの活性あるいは局在制御を司るリン酸化シグナルネットワークを明らかにすること、が今後の大きな課題となる。 Cut8と物理的に相互作用するタンパク質の解析に関しては、酵母Two-hybrid法を用いて、Cut8と強く相互作用する5つの候補タンパク質を同定済みであるが、平成26年度は、上記のリン酸化シグナルネットワークの解析に重点を置いたため、エピトープタグ株の整備、遺伝子破壊株の作製、cut8変異体との二重変異株の作製等のreagentの準備にとどまった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cut8とプロテアソームを制御する可能性のあるリン酸化シグナルネットワークの解析に関しては、たいへん順調に進展しており、平成27年度中に一つ目の論文を発表できる予定である。さらにcut8変異体と遺伝学的に相互作用する新規因子のスクリーニングと解析にも着手しており、今後、これらの成果が合流して、理解がさらに進む事が期待される。一方、Cut8と物理的に相互作用する因子の解析に関しては、進展がやや遅れている。以上を総合し、「おおむね順調に進展している」との自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
Cut8やプロテアソームを制御する可能性のあるリン酸化シグナルネットワークの解析は順調に進展している。今後は、PP2AとCut8あるいはプロテアソームとの機能的関連を明らかにすることが重要であり、酵母遺伝学の利点を生かした解析をおこなうことで、さらに研究を推進させる。cut8変異と遺伝学的相互作用する新規因子の同定と解析にも着手していることから、今年度は、この2つの流れを合流させる。Cut8は脊椎動物では保存されていないが、プロテアソーム、Gwl、Ensa、PP2Aは酵母からヒトまで高度に保存されており、これらの因子間の関係が明らかになれば、大きなインパクトが期待できる。Cut8と物理的に相互作用する因子の解析に関しては、やや遅れているものの、各種のreagentは着実に作製されつつあり、今年度は、それらを用いた解析をおこなう予定である。
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Causes of Carryover |
リン酸化シグナルネットワークの解析を行うなうために各種の生化学実験を行う必要があり、それらに使用される消耗品は比較的高額である。しかしながら、研究の進展具合が当初の予想と異なったため、今年度においては生化学実験用消耗品の購入が予定よりも下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度後半に行われる予定であった実験は、平成27年度前半に行うが、次年度使用額を用いて各種消耗品や必要な機器を購入する予定である。
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