2016 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of mammalian nuclear protein quality control
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25440097
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
水野 武 国立研究開発法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 専任研究員 (30281629)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞核 / タンパク質品質管理 / DNAポリメラーゼα / テロメア / pot1 / シェルタリン / 温度感受性変異体細胞 / ラギング鎖合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類細胞核内のタンパク質品質管理機構の解明を目指し、DNAポリメラーゼαの温度感受性変異体を研究材料とした。タンパク質分解系のモデル基質として解析を行ってきた。一方で、DNAポリメラーゼαの温度感受性変異体であるtsFT20細胞を半許容温度で数週間培養するとテロメアの一本鎖領域と二本鎖領域が共に伸長することを見出して、報告してき(MCB, Nakamura, M., et al., 2005, 25, 11073-11088)。テロメア領域のラギング鎖合成が滞ることによりテロメアが不安定化されることが示された。ゲノムの恒常性維持のメカニズムを理解する上で重要な現象であると考えられた。そこで、核内タンパク質品質管理機構の生理的意義を理解するための良いモデルとして利用するために、テロメア領域のラギング鎖合成の分子機構の解析を行った。その結果ラギング鎖を合成するDNAポリメラーゼαはテロメア領域に結合するシェルタリン複合体中の唯一の一本鎖DNA結合タンパク質であるPot1と直接相互作用することを見出した。Pot1はDNAポリメラーゼαの触媒サブユニットのp180のN末領域と直接結合することを酵母two-hybrid法、免疫共沈降反応、GST-pull down法により検出した。マウスとラットのPOT1には80%以上のアミノ酸の相同性を有するpot1Bというホモログが存在し、pot1Aとpot1Bは同様にp180のN末に結合し、テロメアに局在することをFISH法、PLA法により検出した。テロメアのラギング鎖合成の維持に働く重要な分子間相互作用の詳細を明らかにできたと考えられた。核内で異常をきたしたDNAポリメラーゼαがどのように検知され、テロメアの不安定化を引き起こすのかを理解することで、細胞老化、ガン化、ゲノムの恒常性維持機構の理解へとつながると期待できる。
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