2014 Fiscal Year Research-status Report
アッサムモンキーの社会と生態:オス間の寛容性の進化を探る
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25440253
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
小川 秀司 中京大学, 国際教養学部, 教授 (80293976)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 霊長類学 / アッサムモンキー / ネパール / 社会行動 / 採食生態 / 捕食圧 / 生息地環境 / 分布域 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,ネパールにおいて現地調査を2014年4月1日(出国は前年度の3月16日)から4月5日(帰国)まで,7月25日(出国)から9月15日(帰国)まで,12月20日(出国)から2015年1月7日(帰国)まで,3月15日(出国)から3月31日 (帰国は翌年度の4月5日)まで,Tribhuvan大学のChalise氏ら及び国立公園のレンジャー達の協力を得て行った. カトマンドゥー近郊にあるShivapuri-Nagarjun国立公園はNagarjun地域とShivapuri地域の2地域からなり,両地域内にはニシアッサムモンキー(Macaca assamensis pelops)が生息している.このうちNagarjun地域の道沿いのサル達はある程度人に慣れており,その中の1群は公園内にある軍隊の施設から出される残飯によって餌付けされている.そこで,この群れのすべてのオトナを個体識別し,Koirala氏と共に個体追跡法によってオトナメス8個体とオトナオス8個体を出産季にあたる8~9月と交尾季にあたる12~1月にそれぞれ各10時間観察した.この地域のアッサムモンキーはオス間で頻繁に社会交渉を行うものの,タイに生息するヒガシアッサムモンキー(Macaca assamensis assamensis)とは異なり,2個体が同時に1頭のコドモを持ち上げるブリッジング行動は行わない事が明らかになった.観察記録の詳細は現在分析中である. またNagarjun地域で植生調査を行った.高度100mごとに10m四方の方形区を北及び南斜面にそれぞれ設け,方形区内の胸高直径10cm以上のすべての樹木について胸高直径と樹高を記録した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目にあたる平成26年度は,ネパールのカトマンドゥー近郊にあるShivapuri-Nagarjun国立公園内のNagarjun地域を4度訪れて,ニシアッサムモンキーの観察を行った. Nagarjun地域では,観察する上では幸いなことに地域内の1群が餌付けされており,それらのサルを近距離から長時間観察する事が可能だった.そのため,この群れのすべてのオトナを個体識別して,社会行動を詳細に観察する事ができた.彼らの社会関係を分析する準備が整った. 一方,他の群れについては,群れを発見した時にはその発見場所と群れの性年齢構成を記録したものの,それらの群れを追跡していく事は困難であった.そのため,それら野生群の行動域や生息地利用についての資料はあまり収集できなかった.また,植生調査を実施したが,植物の同定はまだ終わっていない.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成27年度は,以下の1~4の調査を行い,その結果をまとめる予定である.ネパールのカトマンドゥー近郊にあるShivapuri-Nagarjun国立公園内ので,1.餌付けされている群れの性年齢構成の変化を記録し,社会行動の観察を引き続き行う.2.センサスを行ってアッサムモンキーおよびアカゲザル(Macaca nulatta)の群れの位置をGPSで記録し,同時にその群れの性年齢構成やサル達の活動およびと採食品目などを記録する.3.センサーカメラ(カメラトラップ)を設置して,サルの捕食者の生息の有無と密度や,サルの夜間の行動について調べる.また,ネパール内の各地域において,4.アッサムモンキー及びアカゲザルの分布と生息地を調査する.
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Research Products
(5 results)