2014 Fiscal Year Research-status Report
土壌動物に関連する微生物生態系の解析と新規バイオリソースの開発
Project/Area Number |
25450119
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
飯田 敏也 独立行政法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 専任研究員 (30321722)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 土壌動物 / 土壌細菌 / Armadillidium vulgare |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、陸上生態系における分解者として重要な機能を担い、多様な有機物の分解と元素循環に寄与する土壌微生物と土壌動物の関連性に着目し、それらの未知の相互作用(共生)の発見を目指すと共に、土壌動物やそれらの排泄物を分離源とした細菌の分離培養を試み、新規な微生物バイオリソースの開発を目指すものである。 平成26年度は、サクラ落葉を摂食した土壌動物Armadillidium vulgareの排泄物から分離した新規な細菌株、Avf-M12株について、各種分類学的解析を実施した。本菌株はR2A寒天培地上で白色コロニーを形成するグラム陽性の短桿菌で、カタラーゼ陽性、オキシダーゼ陰性であった。16S rRNA遺伝子解析の結果、本菌株はConexibacter属 (Conexibacteraceae科) またはSolirubrobacter属 (Solirubrobacteraceae科) に近縁な放線菌で、それら近縁種の基準株における主要脂肪酸組成やメナキノン分子種、G+C含量等に類似性が認められた。これら近縁種が分類されるSolirubrobacterales目の3科 (Conexibacteraceae, Solirubrobacteraceae, Patulibacteraceae) を特徴付ける16S rRNA遺伝子配列の保存塩基の一部に相違が見られたこと及び塩基配列相同性が既知の基準株配列の94%未満であることなどから、本菌株がSolirubrobacterales目の新科・新属・新種であることが期待された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
土壌動物Armadillidium vulgare排泄物より分離した新規細菌Avf-M12株について分類学的解析を行い、本菌株がSolirubrobacterales目に分類される新科・新属・新種として期待される菌株であることを明らかにした。今後必要な追加の解析を実施し、土壌動物生態系に由来する新規な微生物バイオリソースとして報告を行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
新規な微生物分離源を探索し、微生物群集解析を実施すると共に微生物株の分離を試みる。昨年度までに大量に調製し、滅菌して保管しているArmadillidium vulgare排泄物について、微生物の分離に用いる方策を検討する。
|
Causes of Carryover |
本研究課題の実施に必要不可欠である冷凍庫の動作が不安定であり、新規購入も検討して予算を確保していたが、年度末の修理対応で安価に解決できたことから未使用分が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
土壌動物の顕微鏡観察データの記録のため、実体顕微鏡用デジタルカメラの購入に使用する予定である。
|