2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450192
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
大貫 宏一郎 近畿大学, 工学部, 准教授 (50378668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 邦義 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (20346836)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 精神機能 / 機能性食品 / 動物行動 / 生理心理 / マウス / 香り |
Research Abstract |
日本ではこの10年間以上連続して自殺者が3万人を越え、その原因の第1位がうつ病として考えられている。うつ病や心身症といった精神疾患は深刻な社会問題であり、対策に必要な福祉医療費が国庫を圧迫しつつあるのが現状である。予防医学の観点からストレスやうつ病に対処する必要性が今後ますます重要視されることは想像に難くない。市場には、抗不安、抗うつといった精神機能性を謳ったサプリメントや食品が出回っているが、確たるエビデンスを持った食品はほとんどないのが現状である。そこで本研究は、ストレスや鬱を改善する、エビデンスをベースとした食品の開発に寄与することを目指し、マウスの行動テストバッテリー(網羅的な一連の行動テスト)及びヒトの総合的な生理心理解析システムを用いて、精神機能に影響を与える機能性食品成分の探索を行った。いくつかの応用事例の例として、魚油を摂取したマウスは他の油脂(植物性油脂や動物性の油脂)を摂取したマウスに比べて鬱や不安を改善することを、マウスの網羅的行動テストバッテリーで示した。また、ヒトによる研究である香りに鎮静効果があることを、脳波や心電図自律神経解析、質問紙や唾液の生化学的な評価を網羅的に実施することで解明した。以上の結果より、動物行動実験系やヒトの心理生理的評価方法が、食品の機能性検出に効果的であることが示され、このシステムが食品成分の精神機能性評価に有用であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的通りに、網羅的な精神機能性解析システムの整備が進み、その応用事例を示すことができた。該当課題に関連する発表を多く行っているため、十分な進捗があったと考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題により、精神機能性を網羅的に評価するシステムが構築されつつあると言える。今後の研究については、その評価を記憶・学習や睡眠(サーカディアンリズム)などにも進展させ、脳神経系への機能性を網羅的に評価できるシステム構築に進展させたいと考えている。現在、記憶学習や睡眠について動物実験とヒト試験の双方を進行させており、食品成分や天然物の機能性を評価できるかを検討している。その遂行のためには十分な資金や人材が必要であるが、産学連携なども活用することにより、研究の進展を試みている。
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