2013 Fiscal Year Research-status Report
モノリグノールアシル化酵素遺伝子の同定と発現制御によるリグノセルロース代謝工学
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25450241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 史朗 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (70437268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 俊明 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80151926)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リグニン / モノリグノール / アシル化 / バイオリファイナリー |
Research Abstract |
ポプラのマイクロアレイデータ解析およびBAHDアシル基転移酵素ファミリーの系統樹解析により、モノリグノールのアシル化に関わると推定される酵素遺伝子を網羅的に探索した。その結果、モノリグノールのp-ヒドロキシベンゾイル化酵素の候補遺伝子を2種類見出した。 ノルリグナンの一種、cis-ヒノキレジノールの生合成前駆体は、モノリグノールの一種のp-クマリルアルコールがp-クマロイル化されて生成するp-クマル酸p-クマリルである。従って、cis-ヒノキレジノールを産生するエリシター処理済アスパラガス培養細胞においては、p-クマル酸p-クマリルが生成しており、その生合成に関わる酵素であるモノリグノールのp-クマロイル化酵素が発現していると推測される。そこで、エリシター処理済および未処理のアスパラガス培養細胞のRNA-seq解析をそれぞれ行い、エリシター処理により遺伝子発現が増加するp-クマロイル化酵素遺伝子の候補を5種類見出した。続いて、5種類の全長遺伝子をクローニングし、大腸菌を用いて組換え酵素の発現を試みた。その結果、3種類の候補遺伝子については、相当する組換え酵素が大腸菌破砕液の可溶性画分に見出された。 アスパラガス培養細胞のRNA-seq解析から得られた仮想遺伝子配列(コンティグ)を相同性検索に供し、ケイヒ酸/モノリグノール生合成経路上の酵素遺伝子を網羅的に見出した。続いて、エリシター処理済および未処理細胞におけるそれぞれの遺伝子の発現量を計算し、代謝経路上にマッピングした。その結果、エリシター処理によってcis-ヒノキレジノール生合成に関わると推測されるケイヒ酸/モノリグノール生合成経路上の酵素遺伝子の発現量が顕著に増加したことが見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H25年度に予定していた研究内容(遺伝子発現解析実験)の他に、H26年度に予定していた研究内容の一部(候補遺伝子のcDNAクローニングおよび組換え酵素発現)を実施することが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
アスパラガス由来のモノリグノールのp-クマロイル化酵素に関しては、5種類の候補遺伝子のうち、3種類については、大腸菌破砕液の可溶性画分に相当する組換えタンパク質が発現していることが見出された。そこで、今後、これらの組換えタンパク質を精製し、酵素アッセイに供する。また、組換えタンパク質が得られていない2種類の酵素については、ベクターや宿主を変更し、組換え酵素の発現を試みる。一方、ポプラ由来のモノリグノールのp-ヒドロキシベンゾイル化酵素に関しては、ポプラのゲノム配列に基づき、遺伝子合成によりcDNAを取得し、組換え酵素の発現を試みるとともに、基質および酵素反応生成物標品を有機合成する。
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