2014 Fiscal Year Research-status Report
大型底生性タコ類ミズダコの移動要因の解明に関する研究
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25450288
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
佐野 稔 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (80523539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板谷 和彦 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, その他 (70536606)
内田 康人 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (60465961)
輿水 健一 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (30636171)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミズダコ / 深浅移動 / バイオロギング / 音響調査 / 宗谷海峡 / 藻場 / 底質 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ミズダコが深所へ移動する要因の解明(1)野外におけるミズダコの好水温帯の特定:水温ロガーを取り付けたミズダコを、2013年、2014年に宗谷岬周辺の3カ所の漁港から放流した結果、2014年4~11月にかけて計16個体再捕された。水温ロガーで観測された経験水温から、岸側の水温が12℃を超え始めると沖側への移動が始まり、20℃以上の海域に生息する個体は認められなかった。(2) 高水温によるミズダコの成長および栄養要求量への影響評価:未成熟ミズダコを2.5℃~20℃の水温条件で1~2か月飼育した結果、20℃を超える高水温では生育が困難であることが明らかとなった。 2.ミズダコが浅所へ移動する要因の解明 (1)浅所および深所におけるミズダコの食物、摂食状況の比較:2004年から2014年に宗谷海峡で採集されたミズダコについて、月別の空胃個体の割合を把握した結果、4~6月では13.6~31.7%、9~11月では26.9~52.0%となった。2010~2012年の6月と10月の胃内容物組成を観察した結果、6月では主にカニ類、ヤドカリ類、ユムシ、10月では、魚類、魚卵、ユムシなどであった。 (2)摂食状況の差異をもたらす海底環境の解明:2014年6月9~12日にサイドスキャンソナーを用いて宗谷海峡の41.2km2の海域の海底の音響データを取得した。同時に、水中カメラによる撮影を行い、調査範囲の底質分布図を作製できた。宗谷岬周辺の藻場の分布状況を明らかにするために、藻場用ソナーを用いて2014年5月に水深2~12m、8月に水深10~30mに設定した各8定線の音響データと水中カメラによる画像の取得を行った。画像から景観を構成する生物の被度を計算し、主要な景観構成生物がスガモ、コンブ類、アナメ、ヨレモク、小型海藻、無節サンゴモ、イソギンチャク類であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.ミズダコが深所へ移動する要因の解明 (1)野外におけるミズダコの好水温帯の特定:水温ロガーをつけて放流したミズダコが16個体再捕され、解析に用いるデータを得ることができた。 (2)高水温によるミズダコの成長および栄養要求量への影響評価:2.5℃から20℃までの2.5℃間隔での飼育実験により、一連の解析に必要なデータを得ることができた。 2.ミズダコが浅所へ移動する要因の解明 (1)浅所および深所におけるミズダコの食物、摂食状況の比較:宗谷海峡におけるミズダコの胃内容物標本の観察が計画通り進んでいる。日本海のミズダコの胃内容物標本については、6月と10月に礼文島で採集した胃内容物を冷凍保管して、胃内容物の観察を行う計画である。(2)摂食状況の差異をもたらす海底環境の解明:2014年5月、6月、8月に宗谷海峡における海底環境の音響データを取得でき、この音響データと照合する画像も取得でき、解析も計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ミズダコが深所へ移動する要因の解明 (1)野外におけるミズダコの好水温帯の特定:再捕報告を待つのと平行して収集できたデータの解析を行う。 (2)高水温によるミズダコの成長および栄養要求量への影響評価:飼育データの解析を行い、本項目の成果をとりまとめる。2.ミズダコが浅所へ移動する要因の解明 (1)浅所および深所におけるミズダコの食物、摂食状況の比較:宗谷海峡で過去に採集した胃内容物標本の処理とデータ解析を進め、季節的な摂食状況を明らかにする。日本海の標本については、過去に礼文島で採集した胃内容物の観察を行う。(2)摂食状況の差異をもたらす海底環境の解明:2014年と同様に、2015年5月、6月、8月に宗谷海峡における海底環境の音響データおよび海底画像の取得を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度に実施予定の中課題2小課題(2)摂食状況の差異をもたらす海底環境の解明で必要な用船料、連携研究者から紹介され、調査の指導をしていただく専門家の旅費が不足する見通しとなったため、各課題で必要最小限の支出の努力をしたために残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額は平成27年度に実施予定の中課題2小課題(2)摂食状況の差異をもたらす海底環境の解明で必要な用船料と、連携研究者から紹介され、調査の指導をしていただく専門家の旅費に使用する。
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Research Products
(5 results)