2015 Fiscal Year Annual Research Report
マガキで発見された新規抗酸化物質による肝臓保護作用に関する研究
Project/Area Number |
25450297
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
布田 博敏 北海道大学, 保健科学研究院, 特任准教授 (60576172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 尚志 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (10443920)
神 繁樹 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (60531845)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗酸化物質 / マガキ / NASH / 酸化ストレス / 肝臓 / 脂肪肝 / 線維化 / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は前年度までの研究成果を基にし、以下の実験を行った。これらの結果を基に、論文投稿(Journal of Functional Foods)し、受理された。 酸化ストレスが発生原因と考えられている疾病に対し、マガキから発見された新規の抗酸化物質(DHMBA)ついて、その有効性の検証を行った。DHMBAを高濃度に含むマガキ抽出物(DOE)をNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)モデルマウスに与え、その疾病抑制効果を観察した。NASHモデルマウスの肝臓特有に観察される脂肪蓄積、バルーニング、炎症、及び線維化において、病理組織学的検討を行った結果、DOEはそれらの改善効果が観察された。またそのDOEの効果について詳細な検討を行うため、肝臓における炎症、アポトーシス、線維化、酸化産物、スカベンジャー受容体において、分子生物学的、免疫組織学的観察を行った結果、それらの抑制効果が観察された。また、DOEは抗肥満効果やインスリン抵抗性の改善といった予想外の効果も観察された。DHMBAはDOE中の主成分であることから、上記の疾病抑制効果はDHMBAによるものと考えられた。 研究期間を通じて、肝培養細胞とNASHモデルマウスを用いて、酸化ストレスが要因となって発生すると考えられている疾病に対し、マガキから発見された新規の抗酸化物質(DHMBA)の有効性の検証を行った。肝培養細胞を用いた実験においては、DHMBAは細胞毒性が低く、酸化剤に対する細胞保護作用や酸化誘導性のアポトーシスに対する抑制効果が観察された。NASHモデルマウスを用いた実験においては、NASH肝臓特有に見られる病理組織学的症状の改善、及び抗肥満、インスリン抵抗性の改善が見られた。これらのことから、DHMBAは酸化ストレスが発生原因と考えられているNASHの予防や治療に有効と考えられた。
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Research Products
(12 results)