2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450302
|
Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
大迫 一史 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (00452045)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ゼラチン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,マアジ魚鱗から高収率でフィルム形成に適したゼラチンを抽出するための条件を明らかにした。マアジ魚鱗を0.1 M NaOH溶液に6時間浸漬(3時間後に新しい溶液と入れ替える)してコラーゲン以外のタンパク質を除去後,中性になるまで蒸留水で洗浄し,70,80および90℃で15分から3時間,抽出温度および時間を変えてゼラチンを抽出したところ,70℃で1時間抽出したものが歩留まりが高く(2.5%),また,それから調製したフィルムが最も高い引っ張り強度と引っ張り伸び率を示した(引っ張り強度, 36.48MPa; 引っ張り伸び率, 46.09%)。FTIRによるマアジ魚鱗解析の結果,加熱温度が高く,加熱時間が長いほどコラーゲン由来のα-helix構造が破壊され,これが物性の低下をもたらすことが推察された。また,これら物性値の結果はSDS-PAGEにおけるタンパク質の分子量分布にも反映された。得られたフィルムは他の動物由来のゼラチンフィルムや魚鱗ゼラチンフィルムに比較して非常に低い水蒸気透過性(0.98×10-10gm-1Pa-1s-1)を示し,これはマアジ鱗ゼラチンに含まれる高い疎水性アミノ酸含量(1000残基中653残基)に由来するものと推察された。抽出条件に関わらず,いずれのマアジ魚鱗ゼラチンフィルムも高い紫外線バリア性を示したが,可視光においては高い透過度を示した。以上の結果から,マアジ魚鱗から70℃で1時間抽出したゼラチンを用いることにより,食品包材として低い水蒸気透過性と高い紫外線バリア性を有するフィルムを得られることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り研究は遂行している。また、平成26年度は本事業に基づき、論文が掲載された。 T. Le, H. Maki, K. Takahashi, E. Okazaki, K. Osako. Properties of gelatin film from horse mackerel (Trachurus japonicus) scale. Journal of Food Science, 80(4), E734–E741.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では,魚鱗ゼラチンから調製したフィルムは,他のフィルムに比較してとくに引っ張り伸び率(しなやかさ)が劣ることが想定されるため,フィルムの乾燥温度を変化させることにより,ゼラチンをリフォールディングさせてタンパク質分子間の水素結合を増加させたうえで、可塑剤を添加することによる改良策を開発する。
|
Causes of Carryover |
魚鱗入手のため、複数回長崎に出張予定であったが、現地の漁業者の協力で無償で送付してくれることとなったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は学会発表等を含め、複数回国内に出張予定であるため、これに充当する。
|
Research Products
(3 results)