2013 Fiscal Year Research-status Report
転写因子IRF-2を分子標的とした癌幹細胞除去戦略
Project/Area Number |
25460061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 卓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 非常勤講師 (40375259)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 組織幹細胞 / 癌幹細胞 |
Research Abstract |
本研究は、組織幹細胞の「幹細胞性」が破綻するメカニズムを明らかにし、それを癌幹細胞を標的とした抗がん治療に応用しようとするものである。本研究では、毛包幹細胞を題材とし、これまでに申請者が検討してきたIFNの作用についてその可能性を検討する。 これまでのIrf2-/-マウスの解析から、①加齢に伴い、Irf2-/-マウスの表皮では、CD34+α6 integrin+表皮幹細胞分画がコントロールマウスに比べ有意に減少していること②表皮幹細胞は、in vitroでのコロニー形成能が極めて高い特徴を持つが、加齢Irf2-/-マウス表皮細胞のコロニー形成能が、同月齢のコントロール加齢マウスに比べ、著しく低下していることを観察している。本年度は、まず、加齢に伴い、Irf2-/-マウスの毛包幹細胞にどのような性状変化が生じているかを理解するために、これらの細胞における幹細胞マーカー及び表皮分化細胞マーカー発現の変化について検討した。具体的には、脱毛が認められる4ヶ月齢のIrf2+/-またはIrf2-/-マウス、さらに脱毛の進んだ7ヶ月齢のIrf2+/-またはIrf2-/-マウスの各々の背部表皮細胞よりCD34陽性バルジ幹細胞をフローサイトメーターにより精製し、これらの細胞における各マーカー遺伝子発現を定量的PCRにより解析した。その結果、4ヶ月齢Irf2-/-マウスでは幹細胞マーカー及び分化細胞マーカー発現は、コントロールマウスと同等あるいはそれ以上であり、脱毛が生じているにもかかわらず、毛包幹細胞としての性質そのものは保たれていると考えられた。その一方、7ヶ月齢Irf2-/-マウスでは、分化細胞マーカー発現が亢進すると同時に、幹細胞マーカー発現が低下する傾向を認めた。この結果から、加齢Irf2-/-マウスの毛包幹細胞では、「異常分化」が生じている可能性が示唆された。本年度は、さらにこれらの細胞についてマイクロアレイ解析を行うために、複数の個体より細胞を回収した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
正常毛包幹細胞の解析が進捗した一方で、本年度計画していた、皮膚化学発癌マウスモデルを確立できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度の研究では、第一に、癌幹細胞を可視化可能な皮膚癌マウスモデルの確立を目指す。既に報告されたプロトコールでは、癌形成が確認できなかったことから、至適なプロトコールを検討する。場合によっては、より発症効率の良いモデルの導入を検討する。具体的には、化学発癌モデルのみならず、皮膚がんを発症する遺伝子変異マウスモデルが考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
事務手続きの関係上、次年度の使用額として計上することとなったため。 一部の消耗品費の支払いが4月になったため。 事務手続き上のことであり、次年度の消耗品費として計上する。
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Research Products
(1 results)