2015 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病菌の病原性を不活化する麹菌由来物質の構造と機能
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25460122
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉山 政則 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (30106801)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 麹菌 / 歯周病 / ジンジパイン / 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は, 脱脂大豆麹エキスが, Pgの刺激により歯肉上皮細胞から産生されるIL-8を阻害するか否かをin-vitro系で検証することを目指した。本実験には, 歯肉上皮系細胞としてヒト歯肉上皮癌由来の Ca9-22 細胞を用いた。Ca9-22 細胞はDulbecco's modified Eagle medium (DMEM培地)に,10%牛胎児血清(FBS),50U/mLペニシリン及び50μg/mLストレプトマイシンを加え,37°C,5%CO2下で培養した。72時間培養後, 新鮮なDMEM培地に交換し, 24時間, 血清飢餓を行った。その後, 脱脂大豆及びA. oryzae S-03を用いて作製した脱脂大豆麹エキスを1%になるよう添加後, 37°C,5%CO2にて30分インキュベートした。その後, DMEM培地で洗浄したP. gingivalis W83を3x107個/mLになるように加え, 48時間培養した。その結果, 本エキスを添加すると, 無添加に比べ, 死細胞の割合が著明に高かった。また, 麹エキスを添加した細胞においては, Pg菌体のみを添加した場合と比べ, 細胞死の有意な抑制は認められなかった。 Pgは, ジンジパイン以外にも幾つかの酵素と内毒素性リボ多糖等を分泌する。上記実験結果を考察すると, 脱脂大豆麹エキスの刺激により, Ca9-22細胞が死滅した可能性よりも, Pgが産生する内毒性リポ多糖により, 培養細胞が死滅してしまった可能性の方が高い。今後, Ca9-22細胞以外の歯肉上皮系細胞を用い, それら細胞が産生するIL-8発現量を比較する必要がある。更に, 脱脂大豆麹エキスの急性毒性試験及びPg感染予防の有無, またはPg感染による炎症性サイトカインの発現量の測定, 並びに, 破骨細胞関連遺伝子発現量を動物実験系で確認する必要がある。
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