2014 Fiscal Year Research-status Report
主要フィトカンナビノイドのヒト脳および肺における代謝ならびにその毒性学的意義
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25460176
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
渡辺 和人 北陸大学, 薬学部, 教授 (30113038)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヒト脳ミクロソーム / ヒト肺ミクロソーム / ヒト胎盤ミクロソーム / テトラヒドロカンナビノール / カンナビジオール / カンナビノール / CYP19 / アナンアミド加水分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) ヒトCYP19およびヒト胎盤ミクロソーム (Ms) により、Δ9-THCは選択的に8α-hydroxy-Δ9-THCへと代謝された。2) CBNはいずれの酵素源を用いた場合にも、8-hydroxy-CBNおよび11-hydroxy-CBNが主要代謝物として生成した。いずれの酵素源でも、生成比は8-hydroxy-CBN > 11-hydroxy-CBNであった。3) CBDは、CYP19により6α-hydroxy-CBD > 6β-hydroxy-CBD > 7-hydroxy-CBD = 1”-hydroxy-CBDへと代謝された。また、CYP19および胎盤Msによる主要フィトカンナビノイドの代謝は、アンドロステンジオンおよび 2-アミノグルテチミドにより阻害された。4) Δ9-THC、CBNおよびCBDは、CYP19の代謝活性(基質:ジベンジルフルオレスセイン)を阻害した (IC50 = 25 ~ 35μM)。5) Δ9-THCおよびCBNのCYP19による主要代謝物 (8α-hydroxy-Δ9-THCおよび8-hydroxy-CBN) のCYP19阻害作用は、母化合物と同等かやや弱かった。 6) 主要カンナビノイド(Δ9-THC、CBNおよびCBD、129μM)は、ヒト脳Msのアナンダミド水解酵素活性をいずれも有意に阻害した。また、これらカンナビノイドはヒト肝Ms中のアナンダミド水解酵素活性には、同条件下影響を与えなかった。7) Δ9-THCおよびCBD 129 μM)は、脳Ms中の2-アラキドノイルグリセロール水解活性を阻害した。また、CBNを含む主要カンナビノイドは、肝Ms中の2-アラキドノイルグリセロール水解活性には影響を与えなかった。8)ヒト脳および肺Msによる11-oxo-THCから生成するTHC-11-oic acid中には、18O2気相下の検討により、選択的に18Oの取り込みが見られ、酸素添加反応 (oxygenation) により反応が進行することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画の内、 1) 内因性カンナビノイド(アナンダミド (AN) および2-アラキドノイルグリセロール 2-AG))のヒト脳および肺における代謝(加水分解)への主要カンナビノイドの影響については、3種の主要カンナビノイドについて検討を行った。2) ヒト脳および肺Msを用いてCYP 選択的な酵素活性および活性に対する主要カンナビノイドの阻害作用については、一部の検討に留まったが、予定にはないものとしてヒト胎盤を購入し、主要カンナビノイドの代謝、および選択的阻害剤の影響およびCYP19による代謝活性への主要カンナビノイドの影響について検討を加えた。3) ヒト脳および肺Msによるカンナビノイドの代謝に関連して11-oxo-THCを基質としたMicrosomal aldehyde oxygenase (MALDO) について解析したところ、代謝物への分子状酸素の導入が認められ。反応がoxygenationにより進行していることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究計画:1) ヒト脳および肺における主要カンナビノイドの代謝物について、ヒト乳癌細胞MCF-7の増殖促進作用およびその機構解析、2) ヒト脳および肺における主要カンナビノイドの代謝物について、マウス神経芽細胞腫のC1300N18およびNB2a細胞、さらにマウス肺マクロファージJ774-1細胞に対する細胞毒性とその機構解析、3)ヒト脳および肺における主要カンナビノイドの代謝物について、シクロオキシゲナーゼ (COX-1, 2)およびリポキシゲナーゼ (LOX-5, 12, 15) の阻害作用を検討する。また、 上記酵素阻害およびこれまでに報告されている代謝物の薬理、毒性を踏まえカンナビノイドのヒト脳および肺における代謝の薬理、毒性学について考察する。
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Causes of Carryover |
購入予定であった酵素、補酵素および実験器具購入について、これまでストックしていたものが使用できたので、余剰金がでた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
円高のため、これまで同様に国際学会の参加費用が予定よりも増額になるので、これに充てる。その他、出来れば酵素類を追加購入する。
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Research Products
(17 results)