2013 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴う大腸癌病態メカニズム変化とエストロゲンの関係についての包括的研究
Project/Area Number |
25460429
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
本間 尚子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (70321875)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大腸癌 / エストロゲン / estrogen receptor-beta / マイクロサテライト不安定性 |
Research Abstract |
大腸粘膜にはエストロゲン受容体β (ER-β)が発現されており、大腸癌の病態におけるエストロゲンの役割について種々の検討がなされているが、十分なコンセンサスは得られていない。これまで、ER-β遺伝子(ESR2) CA repeat多型と大腸癌リスクの関係を調べたところ、高齢者女性剖検例では短鎖が結腸癌のリスク因子、一方、75歳未満の症例‐対照研究では、長鎖が閉経後女性結腸癌のリスク因子という、一見、逆の結果が得られた。閉経前女性、男性、直腸ではこの多型の影響はなかった。大腸癌の病態におけるエストロゲン‐ER-β系の意義が、年齢、性、局在部位により異なることを示唆するものであるが、年齢、性、局在部位を考慮した研究はほとんどない。またエストロゲンが関係した大腸癌研究では、人体組織を用いた研究自体が非常に限られる。本年度は、これまでに興味深い現象が見られている閉経後女性結腸癌手術検体について、エストロゲン関連諸因子(ESR2 CA repeat多型、ER-βを含む性ホルモン受容体発現、エストロゲン代謝酵素群発現、各種性ホルモン濃度)および発癌メカニズム関連諸因子(ミスマッチ修復酵素遺伝子産物等)の解析を行った。エストロゲンは、食事やサプリメント(例:大豆イソフラボンは植物性エストロゲンで、代表的なER-βリガンドである)、body mass index (閉経後女性では、脂肪組織に多く存在するaromataseによりエストロゲンが合成される)などと密接に関係しているため、疫学的研究が重要な分野である。そのような観点から、病理組織学的研究と並行して、大規模な前向きコホート群での疫学的および分子疫学的解析(ESR2 CA repeat多型の解析)を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫染色、性ホルモン濃度測定、性ホルモン代謝酵素群解析、ESR2 CA repeat多型と多くの項目で実験が進んでいる。疫学的研究も粗解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験は進んでいるが、免疫組織化学の評価や統計解析には至っていない。これらを可及的速やかに進めていく。必要に応じ、症例数の増加も行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの研究で、年齢による差が明瞭に認められている閉経後女性結腸癌を優先して実験を行い、状況を見極めているため。 閉経後女性結腸癌についての解析結果を見て、男性、閉経前女性、直腸と、解析範囲を広げていくか、ホルモン濃度測定を行う症例数や項目を増やすかを決める。
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