2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25460440
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山下 篤 宮崎大学, 医学部, 助教 (90372797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
盛口 清香 宮崎大学, 医学部, 助教 (90468041)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 動脈硬化性血栓 / プラークの血栓能 / 代謝 / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
心血管イベントの多くが動脈硬化巣(プラーク)の破綻に伴う閉塞性血栓によって発症する。しかしながら、プラーク破綻が必ずしも血栓症の発症を引き起こすのではないことが認識されるようになってきた。動脈硬化性血栓症ではプラークの血栓形成能が特に重要と考えられるが、プラークの血栓能を検出する非侵襲的診断法は確立していない。本研究では、動脈硬化巣の血栓形成能を反映する代謝産物の同定を目的としている。これまでに血管壁の糖代謝と血管の血栓能に注目し 、18F-フルオロデオシキグルコース(FDG)と家兎 動脈硬化性血栓モデルを用いて、動脈壁におけるFDG集積の程度は血液凝固開始因子である組織因子の発現と関連し病巣の血栓形成能を反映すると考えられ、FDG-PET(陽電子放射断層撮影)によって動脈硬化巣の血栓性リスクを非侵襲的に評価できる可能性が示唆された。次に、動脈代謝の全体像を明らかにするため家兎動脈硬化血管のメタボ ローム解析を行った。動脈硬化血管では、多くの代謝経路に変動が生じており、これには構成細胞の相違や低酸素環境の影響が考えられた。また家兎動脈硬化血栓モデルを用いて、プラークの低酸素状態が血液凝固因子である組織因子の発現を介して動脈血栓の形成、とくにフィブリン形成に寄与していることを明らかにした。さらに剖検症例を用いて、冠動脈の血栓サイズを規定する因子について病理学的に解析し、冠動脈の血栓サイズと解糖系代謝酵素であるヘキソキナーゼIIの発現が相関することを明らかにした。このようにプラークの糖代謝産物や解糖系の代謝酵素の検出により血栓症のリスク評価や、新たな治療指標の確立への展開が期待される。
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Research Products
(8 results)