2013 Fiscal Year Research-status Report
トキソカラ症の実態解明~多彩な臨床像とその病態に関連する諸因子の基礎的検討~
Project/Area Number |
25460518
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中村 ふくみ 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (90295204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤尾 信明 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (00126559)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トキソカラ症免疫診断 |
Research Abstract |
平成25年度に蓄積されたトキソカラ症例は、合計30症例(研究代表者施設3例、分担研究者施設27例)であった。これは過去の年度別症例数と比較すると、およそ半分に減っており、トキソカラ症の感染源となる牛肝の生食が平成24年7月に禁止された影響が考えられた。病型は内蔵幼型が3例、眼型が26例、その他1例であった。その他の1例は関節腫脹など自己免疫疾患様症状が主たる所見であった。男女比は1:2と女性患者が多く、平均年齢は53歳であった。自己免疫疾患様症状を主とした1例では、アルベンダゾールによる治療効果が乏しく、肝機能障害が見られたためイベルメクチンによる治療を行い経過観察中である。非典型的な症状が見られる症例では、トキソカラ症治療の第一選択薬であるアルベンダゾールに対する治療応答が悪い可能性が示唆された。また症例の蓄積を行う中で、内蔵型トキソカラ症が強く疑われたが、最終的に慢性好酸球性肺炎と診断した症例があった。慢性好酸球性肺炎でトキソカラ症類似の画像所見が見られたという報告はこれまでになく、症例報告を作成中である。 トキソカラ症免疫診断システムの構築に関しては、診断用のトキソカラLES抗原を得るためのトキソカラ3期幼虫飼養およびトキソカラLES抗原精製が可能な体制を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トキソカラ症免疫診断システムは、診断用のトキソカラLES抗原を得るための環境は整備できたもののトキソカラ虫体そのものの入手が非常に困難である。国内他施設でも同様の状況であり、国外を含め虫体の入手経路を確保することが今後の本研究の遂行に不可欠である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きトキソカラ症例の蓄積、症例の解析を継続する。今後、トキソカラ感染動物モデルを用いた検討を予定しており、トキソカラ虫体の入手先確保が急務である。国内の研究者のみならず、国外、特に研究代表者と交流のあるマヒドン大学の研究者にも依頼し、トキソカラ虫体入手に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は論文投稿に至らず、計上していた英文校正費および論文投稿費が次年度使用となった。また患者検体輸送費を計上していたが、輸送回数が当初計画より少なく、次年度使用となった。 トキソカラ虫体の国外からの調達を検討しており、その経費にあてる予定である。
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