2013 Fiscal Year Research-status Report
エンドヌクレアーゼ阻害を指標としたC60球状分子等の抗インフルエンザ化合物の探索
Project/Area Number |
25460574
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
葛原 隆 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (00260513)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | インフルエンザ / RNAポリメラーゼ / インフルエンザウイルス / PA / エンドヌクレアーゼ |
Research Abstract |
2009年に新型インフルエンザがパンデミックを引き起こし、高病原性の鳥インフルエンザウイルスによる死者が報告されるなど、インフルエンザウイルスは人類にとって脅威である。インフルエンザウイルスはマイナス鎖のRNAゲノムを有し、これを複製し転写する酵素としてRNA依存RNAポリメラーゼを有しており、ウイルスの増殖に対して根本的な役割を担っている。RNAポリメラーゼはPA、 PB1、 PB2の3つのサブユニットからなる複合体である。C60フラーレンはサッカーボール状の分子であり、こうような形状の分子が抗インフルエンザ活性を有していると言う発想はこれまで全くなされていなかった。本申請者の研究室では、複数のC60フラーレン誘導体が抗インフルエンザウイルス活性があることを示し、Plos ONE誌に論文を2013年に発表した(Shoji M, ..., Kuzuhara T. PLoS ONE, 2013)。複数のC60フラーレン誘導体がインフルエンザウイルスRNAポリメラーゼのPAサブユニットのエンドヌクレアーゼ活性を試験管内で阻害し、インフルエンザウイルスの増殖を細胞系において阻害した。また既存の抗インフルエンザ薬であるオセルタミビルがその副作用としてマウスの行動を促進するメカニズムを解明し、British Journal of Pharmacology誌に発表した(Hiasa M, ..., Kuzuhara T. British Journal of Pharmacology, 2013)。オセルタミビルはプロドラッグ選択的にモノアミン酸化酵素を試験管内で阻害し、脳内投与によりプロドラッグ選択的にマウスの幾つかの行動を促進した。オセルタミビルの副作用メカニズムを解明し、さらに良い抗インフルエンザ薬を開発する礎を築いた。以上、新規抗インフルエンザ化合物の発見と既存の抗インフルエンザ薬の副作用メカニズムという総合的な解析ができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数のC60フラーレン誘導体が試験管内でPAサブユニットのエンドヌクレアーゼ活性を阻害する活性を有し、なおかつ細胞系において抗インフルエンザウイルス活性があることを示し、Plos ONE誌に論文を発表することができたから。C60フラーレンのようなサッカーボール状の分子が抗インフルエンザ活性を有することを報告したのは本研究成果が世界で初めてである。抗インフルエンザ薬を開発するにあたって、新規な発想を与えた。またそれだけでなく、既存の抗インフルエンザ薬であるオセルタミビルの行動促進のメカニズムを解明できた。またこれをBritish Journal of Pharmacology誌に発表できた。これらを総合的に考えて、順調に進展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
C60フラーレン誘導体について、さらなる抗インフルエンザ活性のメカニズムの解析を進めると同時に、他の化合物の抗インフルエンザ活性についても検討する。漢方抽出液、シアル酸糖鎖関連化合物、などについて試験管内でのPAサブユニットのエンドヌクレアーゼ活性の阻害活性、細胞系における抗インフルエンザ活性について検討する。またその礎として、PA, PB1, PB2サブユニットの発現系として、酵母などを用いたタンパク質発現系についても開発していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の残額は882円と少額である。平成25年度は当初予定していた旅費などが予想される額よる少なかったため残額が生じた。 882円と少額ではあるが、この残額は来年度の消耗品費の一部として使用する予定である。
|
Research Products
(14 results)
-
-
[Journal Article] Anti-influenza activity of C60 fullerene derivatives.2013
Author(s)
Shoji M, Takahashi E, Hatakeyama D, Iwai Y, Morita Y, Shirayama R, Echigo N, Kido H, Nakamura S, Mashino T, Okutani T, Kuzuhara T.
-
Journal Title
PLoS ONE
Volume: 8
Pages: e66337
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Identification and purification of resorcinol, an antioxidant specific to Awa-ban (pickled and anaerobically fermented) tea.2013
Author(s)
Hiasa M, Kurokawa M, Ohta K, Esumi T, Akita H, Niki K, Yagi Y, Echigo N, Hatakeyama D, Kuzuhara T.
-
Journal Title
Food Research International
Volume: 54
Pages: 72 80
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-