2013 Fiscal Year Research-status Report
血中sCLECー2測定法の臨床応用と実用化に向けた検討
Project/Area Number |
25460677
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
長田 誠 山梨大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師 (20569628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 修 山梨大学, 医学工学総合研究部, 准教授 (00432154)
尾崎 由基男 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (30134539)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | soluble CLEC-2 / ポドプラニン / 抗血小板剤 / 慢性関節リウマチ |
Research Abstract |
新規血小板活性化受容体CLEC-2を同定し,その生体内リガンドがポドプラニンであること,癌転移やリンパ管新生に関与する受容体であることを見出した.CLEC-2はヒトでは血小板にほぼ特異的に発現し,活性化に伴い血小板から遊離するため,血中soluble CLEC-2(sCLEC-2) 測定が生体内での血小板活性化マーカーになり得ると考え,ELISA測定系を構築した.sCLEC-2は急性冠症候群患者で有意に高値となり,既存の同様なマーカーと異なり採血手技の影響をほとんど受けなかった.本研究では,sCLEC-2測定が抗血小板薬のモニター法として利用可能であるか探ると共に,ポドプラニン発現癌の患者血漿や,血小板マイクロパーティクル(MP)が増悪因子となる慢性関節リウマチ患者血漿・関節液のsCLEC-2が上昇するか検討する. 動脈血栓症予防に抗血小板剤(アスピリン、クロピドグレル)を服用する予定の患者(脳梗塞患者、心筋梗塞患者、糖尿病患者)の血漿中sCLEC-2 を,服用前後の2回にわたって測定する予定であったが,糖尿病患者の血漿sCLEC-2値が上昇しているか確認するため測定を行った.HbA1c高値の糖尿病患者15名について血漿sCLEC-2測定を実施したところ,有意差は認めなかったが健常人10名に比べ高値となった(健常人平均 98 pg/ml,糖尿病患者平均 157 pg/ml).他の疾患に関しては,患者の同意,検体採取が遅れているため平成26年度に引き続き検討を行う. sCLEC-2測定の基礎検討と臨床応用に関する研究成果をまとめた論文を,Thrombosis and Haemostasisに投稿しており,現在,revisionを提出するところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動脈血栓症予防に抗血小板剤を服用する予定の患者,ポドプラニン発現(食道扁平上皮癌,セミノーマ患者,中皮腫患者,脳腫瘍)患者の血漿sCLEC-2測定,慢性関節リウマチ患者の血漿・関節のsCLEC-2測定は,平成25,26年度の2年計画である.全体の疾患における同意書・検体採取が遅れているためsCLEC-2測定が実施できなかった.このことから達成度はやや遅れていると考えられた.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,各疾患の同意書・検体採取を早めに終わらせ,sCLEC-2測定を実施するとともに,各疾患の検体を既存の血小板活性化マーカーを用いて測定し,臨床的意義を検討する.また,ポドプラニン発現細胞に洗浄血小板を加えることでsCLEC-2が上昇するか検討する.さらに,次年度の計画である自動化に向けた準備を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
sCLEC-2測定の抗血小板薬のモニター法としての可能性を探ると共に,ポドプラニン発現癌の患者や,血小板マイクロパーティクル(MP)が増悪因子となる慢性関節リウマチなどの疾患にて血漿sCLEC-2が上昇するか検討することになっていたが,患者検体が収集が遅れているためsCLEC-2測定が実施できず予算を使い切ることができなかった. sCLEC-2 のELISA 測定プレートの作製は,96 穴プレート,ブロッキング液,洗浄液,検体希釈液,AMDEX, TMB, 停止液等が必要であり,1 次抗体の96 穴プレートへのコーテングから測定を実施する試薬が多数必要である.次年度使用額の使用計画として,ELISA測定プレートの作製と検体測定に用いる試薬を購入する.AMDEX は高価であり,TMB は劣化するので随時購入する.
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