2014 Fiscal Year Research-status Report
タグ付抗体産生マウスを利用した次世代型高感度抗体チップの開発と応用
Project/Area Number |
25460689
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
古元 礼子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70311818)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | タンパクチップ / 抗体開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.タグ付抗体大量作製方法の検討: 培養細胞発現系の大量発現システムによるタグ付抗体の作製を行い、実験に十分な量の抗体が得られるか検討した。Exp293F細胞を用い、IgG重鎖とIgG軽鎖の発現ベクターをトランスフェクションし、37℃で震盪培養を行い、3日後に培地を回収した。培地を遠心分離して細胞成分を除去し、プロテインGカラムでIgG分画の回収を行った収量は野生型IgGは18μg(培地30mLより) (従来の方法 培地1Lより48μg)、タグ付IgG 8μg(培地30mLより) (従来の方法 培地1Lより42μg)が得られた。従来の方法と比較すると、6倍から12倍の回収量が得られた。 2.抗体フラグメントのマレイミド基板固定 マレイミド基板へ固定するタンパク質は小分子のほうが適していることから、抗体フラグメントを作製し、フラグメント化した抗体もマレイミド基板に固定されるか検討した。抗体のサブクラスのうち、一般的に使用されるマウスIgG1、IgG2a、IgG2bについてフラグメント作製を試みたところ、IgG1はシステイン存在下にFicin処理を行い、反応条件を変えることでFabとF(ab’)2を特異的に調製することが可能であった。しかし、IgG2aについては、ペプシン処理でF(ab’)2が得られる予定であったが、分子の大きいFab’とFcが産生され、2F(ab’)2は得られなかった。また、IgG2bについても、ペプシン処理でFab’とFab/cという不規則な抗体フラグメントが産生された。作製したIgG1由来のFabとF(ab’)2をそれぞれマレイミド基板に固定し、免疫蛍光抗体法で観察を行ったところ、FabとF(ab’)2はIgG1完全分子と同様にマレイミド基板に固定された。また、FabとF(ab’)2はIgG1軽鎖に対する抗体でIgG1完全分子よりも強く検出されたので、抗原認識部位が表出している可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の目的を達成するための課題を検証しており、具体的には抗体アレイチップを開発するために、基板に固定する抗体のタグの位置について条件検討を行っている。当初の予定どおりでない部分もあるが、それに対処するための新たな検討課題が見つけ、研究を遂行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
タグ付抗体大量作製方法については、今後ベクターの工夫を行い、さらに回収量が得られるよう技術の改善を行う。 抗体(免疫グロブリン)の4量体を消化酵素処理によりFc領域を外したFabとF(ab’)2が基板の固定されることが確認できたので、これらフラグメントにタグを付け、基板上で配向性を保持し、固定が安定するよう検討を行う。 将来的に、あらゆる抗原に対する多種類のタグ付き抗体を作製するために、ゲノム編集によるハイブリドーマ抗体遺伝子へのタグの付加を検討する。
|
Causes of Carryover |
今年度に行った実験の多くは手持ちの試薬類で対応できたので、大量の試薬の購入に至らなかった。また、実験を進めるうえで、計画に見直しが必要となり、これに伴う試薬等の購入について未使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養細胞発現系の大量発現システムによるタグ付抗体作製用ベクター調製費用、ゲノム編集によるハイブリドーマ産生抗体へのタグの付加を検討するための試薬の購入に使用する。
|