2013 Fiscal Year Research-status Report
食に関する社会的弱者対策:フード・インセキュリティに関する探索的研究
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25460744
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中村 美詠子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (30236012)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 食事改善 / 栄養 / フード・インセキュリティ / 社会経済的要因 |
Research Abstract |
本研究は「食に関する社会的弱者」に対する食事改善の新しいアプローチを構築することを目的としている。一般に高齢者や無職の者は社会的弱者として認知されているが、本研究における「食に関する社会的弱者」は広く単身者、単身赴任者、男性、若年者等を想定しており、その指標としてフード・インセキュリティを用いる。 平成25年度はフード・インセキュリティに関する基礎的知見を得ることを目的として、総務省社会生活基本調査ミクロデータ(2006年)を用いて、先行研究のフード・インセキュリティ調査項目に含まれる欠食行動のうち、朝食の欠食と物理・社会・経済的要因との関連について検討した。分析対象はふだん主に仕事をしていると回答した男性30,650人、女性15,779人である。調査日(平日1日目)の午前4時から11時の間に食事をとっていない場合を「朝食欠食」とした。ロジスティック回帰分析により性別に朝食欠食に関する各要因の年齢調整オッズ比と95%信頼区間を求めた。朝食欠食の年齢調整オッズ比は、高学歴、高収入、持家有、自家用車有で低く、長時間通勤、長時間労働、正規雇用で高かった。本検討により、日本におけるフード・インセキュリティ調査項目としては時間的要因(多忙)を含める必要性が示唆された。先行研究も参考としてフード・インセキュリティ調査票案を作成した。 次に一般労働者として従業員規模が300人以下の製造業中小企業労働者を対象として、フード・インセキュリティ調査票案、食品摂取頻度調査票を含めた質問紙調査を実施した。静岡県西部地区400社に依頼状を送付し、協力が得られた43社の従業員2400人から回答を得た。今後詳細な検討を行う予定である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の計画は、①総務省社会生活基本調査ミクロデータを用いて、海外先行研究のフード・インセキュリティ調査項目に含まれる欠食行動と物理・社会・経済的要因との関連を検討し、フード・インセキュリティをスクリーニングするための調査票を作成すること、②一般労働者を対象として、フード・インセキュリティ調査票、食品摂取頻度調査票を含めた質問紙調査を実施することであった。①については、朝食欠食に関連する要因を明らかにし、結果を学会報告するとともに、分析で得られた知見をふまえたフード・インセキュリティ調査票案を作成した。②については予定通り、一般労働者を対象とした調査を終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、平成25年度に実施した調査データについて検討し、日本人一般労働者におけるフード・インセキュリティの実態、フード・インセキュリティと病態・疾患との関連、及び食料アクセス阻害要因を明らかにすることを目的として検討を行う。検討項目は肥満、高血圧、自己申告による糖尿病、脂質異常等、フード・インセキュリティが発症やコントロール不良等と関連していると考えられる病態・疾患等である。さらに、フード・インセキュリティと食料アクセスに関する物理的要因、社会的要因、経済的要因との関連を明らかにする。 平成27年度は、フード・インセキュリティの栄養学的特徴を明らかにし、「食に関する社会的弱者」に対する新しい食事・栄養改善対策を提言することを目指す。まず、食品摂取頻度調査票を用いて栄養素等摂取量、食品摂取量を算出し、フード・インセキュリティの有無別に、栄養素・食品・料理レベルでの摂取状況を検討する。平成26・27年度の分析結果をふまえて、「食に関する社会的弱者」と考えられるフード・インセキュリティ別、あるいはそのレベル別等に、食事・栄養改善対策に対する個人レベル、社会環境レベルでの新しいアプローチ法を考察する。 なお、平成25年度に実施した調査で不十分な場合は補完調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に採択された論文発表(2014年3月発行予定)の掲載費の納入が2014年度になったこと、及び本年度に発表予定であった学会報告が2014年度になったことによる。 掲載費(in press)は2014年度に納入予定。研究成果報告も2014年度に予定。
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Research Products
(4 results)