2016 Fiscal Year Research-status Report
病院患者図書館を中心とした次世代型患者情報サービスの研究
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25460839
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
前田 稔 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20376841)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 病院患者図書館 / 患者への情報提供 / 健康情報 / インフォームドコンセント / チャイルド・ライフ・スペシャリスト / プレパレーション / 学校図書館 / 読書 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.今や、院内の患者情報サービス拠点としての「病院患者図書館」が増えつつある。図書を通じ、患者自身が疾患の情報を得、学ぶことで、スムーズな治療や医師との信頼関係など二次的産物をもたらし、セカンド・オピニオンの役割も果たすと期待されている。本研究は、およそ5年ごとに行われてきたこれまでの全国動向調査を継続し、更に大きな枠組みで医療全体に及ぼす影響や可能性を研究・提案し、次世代の社会に貢献することを目的とする。 2.子どもの医療情報に関する学習環境について、日本教育学会にて学会発表を行った。 3.健康情報に関する子どもの学習教材の評価に関して、国際会議において発表を行った。 4.アメリカ・ロサンゼルスの医学図書館・学校・団体にて、健康医療情報の学習環境の情報収集および視察を行った。具体的には、公立図書館(Los Angeles Central Library・Katy Geissert Civic Center Library・Gardena Mayme Dear Library)、大学医学図書館(UCLA Biomedical Library)、高校図書館(Abraham Lincoln High School)、小学校図書館(El Marino Language School )、博物館教育施設(California Science Center)における、健康医療情報の提供状況や、廃棄図書の再利用状況などについて調査した。また、現地出版社と意見交換を行い今後医療関係者を紹介していただくことになった。 5.図書の紙による感染の可能性について実験的に調査活動を行った。 6.日本の病院患者図書館に関する実地調査を関西地域で行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.図書による感染可能性の有無についてキッコーマンバイオケミファ社のルシパックペンを用いて様々な対象を使用して検査した。その結果、紙の吸収率や、図書のカバーの材質によって、大きく結果が変動する可能性が見出せた。このため今年度は図書による感染の可能性について研究が進展した。 2.アメリカ・ロサンゼルス地域での実地調査が2回目となり、学校における健康・医療図書の蔵書状況について調査が進展した。薬物教育の一環として健康関連の蔵書が多い学校も存在した。学校図書館・公共図書館ともに、健康・医療関連の子どもの本がかなり充実していることが見出せたことから、研究が進展した。 3.デジタル機器の使用状況については、必ずしも調査が十分に進展していない。おおむね患者が自分自身のスマートフォンを使用して各種の健康医療情報を見ることが当たり前になってきており、実態の調査の必要性は認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカにおける調査結果を発表していくことに加え、スマートフォンやタブレットパソコン等の病院での患者の情報環境に向けた状況調査や、患者にとっての意義を明らかにしていくことを引き続き行い、また、病院患者図書館の全国調査を実施する。
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Causes of Carryover |
平成27年度に、本来イギリスへの調査を想定していたが、研究を共に行ってきたイギリス人のMaurice E Jenkins氏の重度の体調不良により、コーディネートが困難になった。このため、調査先について、再検討を行った結果、患者への図書サービスが比較的行われており、情報通信についての先進国である、アメリカ合衆国への調査へと変更をすることにした。この結果、平成28年度においても調査旅費および関連する支出が順調に推移した。また、感染に関しての調査が進展したことにより、これまでの繰り越し分が大幅に減少した。 しかしながら、未使用額は完全に解消している状況ではない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度においても全国調査についての論文・学会発表および、紙による感染に関する客観的調査、タブレットパソコンの病院での使用実績調査についてさらに充実した体制で行う予定である。また、平成29年度に実施予定の病院患者図書館に関する全国調査結果(全国5400の病院への往復はがきによるアンケート調査)、および、現地調査についての調査結果と論文発表に向けた、日本国内の病院についての現地実地調査によるアンケート調査結果の検証をさらに充実させていく。このため、旅費の支出を行う。 また、紙による感染について医学的にどのように評価すべきかを調査するほか、調査活動を行うために旅費等の支出を行う。 タブレットパソコンの病院での使用実績調査について日本国内の病院に関する現地実地調査を行うための旅費等および、関連する物品購入を行う。その他、研究最終年度における研究および成果公表に資する支出を行う。
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Research Products
(3 results)