2015 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子診断・細胞工学を組み合わせた遺伝性大動脈疾患の病態解明
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25461084
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
今井 靖 自治医科大学, 医学部, 准教授 (20359631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 憲文 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60436483)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マルファン症候群 / 遺伝性大動脈疾患 / 細胞機能解析 / 大動脈解離 / 大動脈瘤 |
Outline of Annual Research Achievements |
マルファン症候群は日本人において5000 人に一人罹患する結合組織疾患であり、特に大動脈合併症(大動脈解離、大動脈瘤)および心臓合併症(僧帽弁逸脱、大動脈弁閉鎖不全)は罹患者の予後に大きな影響を及ぼす。私および共同研究者の武田憲文は本症候群に対する専門外来を2006 年から開設し600例近い本症候群をフォローしてきた。 今井は2年半前自治医科大学に転出してからは自治医大において先天性心疾患外来を開設しその中でマルファン症候群の診療を行う形でデータ収集を継続している。 本研究はマルファン症候群および類縁疾患において患者の遺伝子解析を行うとともに、その中で検出される遺伝子変異の機能的変化について患者由来細胞の機能解析(iPS 細胞の樹立が可能であれば、その活用および分化誘導することを含む)および遺伝子改変マウス作成技術を用いて病態解析を行うことにより本症候群の病態解明を進めようとするものである。マルファン症候群類縁疾患について遺伝子解析を薦め、FBN1遺伝子変異は8割近い症例で変異が見つかるが、類縁した病態においてTGFBR1/2, smad遺伝子、MYH11遺伝子などの変異を同定した。MYH11変異については新規変異であるが、その部位は種を超えて重要な保存領域にあり、その機能を解明するため変異ノックインマウスの作成、ヘテロ接合体が得られたため現在その機能について解析中である。 培養細胞を用いた検討は現在も続けているが、iPS細胞樹立が現在の構成メンバーおよび環境では難しいため、共同研究体制をさらに構築するとともに患者組織由来の細胞自体の培養から機能解析をさらに進めていきたいと考えている。 なお今井自身が自治医科大学へ転勤後、本研究の体制が自治医大に整わず、研究延長申請を行い、平成28年度への延長申請が受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
主たる研究者が本研究申請の2年目に他大学へ転勤となり、診療業務が多忙であることと、基礎的な研究に従事できる環境が限られており研究の進行に遅延を生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度はいままでの遅延を回復させ、特に細胞機能解析を積極的に推進させる。 すでに遺伝子変異を同定した家系が多数存在し、それら患者で特に外科手術を実施した症例については手術時に切除され、病理検体に出すもの以外で従来廃棄対象となっていた組織残余を患者さんの同意を得て回収、一部を細胞培養にも利用し本研究に活用する。
またMYH11遺伝子変異導入マウスを非常に新しい手法を活用し短期間に作成することに成功した。その解析も合わせて実施する。
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Causes of Carryover |
主たる研究者 今井が診療業務が多忙であったこと、基礎研究を実施するための環境が整わなかったこともあり、研究の実施に大幅な遅延を生じた。そのため次年度への研究延長の申請を行い受理された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残された研究費を活用し少しでも遺伝子変異が同定されている症例における機能的解析を患者由来細胞の活用、また一部の遺伝子変異については遺伝子改変マウス作成とその病態モデルにおける解析から、本研究の推進を図りたい。
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[Journal Article] A deletion mutation in myosin heavy chain 11 causing familial thoracic aortic dissection in two Japanese pedigrees2015
Author(s)
Imai Y, Morita H, Takeda N, Miya F, Hyodo H, Fujita D, Tajima T, Tsunoda T, Nagai R, Kubo M, Komuro I
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Journal Title
International Journal of Cardiology
Volume: 195
Pages: 290-292
Peer Reviewed
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