2013 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮間葉転換を標的とした新規の肺高血圧症治療薬の開発
Project/Area Number |
25461197
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
長岡 鉄太郎 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70407295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守尾 嘉晃 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30365663)
高橋 史行 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70327823)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血管内皮間葉系転換 / 肺動脈性肺高血圧症 / 慢性低酸素暴露 / SUGEN5416 |
Research Abstract |
まず、ヒト末梢肺血管内皮細胞(HPMVEC)にTGF-β刺激を加えて間葉系転換を誘導した。TGF-βのみでは形態学的な間葉系変化が不十分であった場合には、さらにTNF-αによる刺激を加えた。血管内皮マーカーとしては、FactorVIII・VE-cadherin・VEGFR1/2・PECAM/CD34、間葉系マーカーとしては、α-SMactin・Vimentin・typeI and III collagensなどを用いて、コントロール群、TGF-β群、TGF-β群+TNF-α群のそれぞれのマーカーの発現を検証した。前述のマーカーのRT-PCRを施行した結果、コントロールと比較して、刺激群の間葉系マーカーの発現が増加していること確認できた。 次に、各種薬剤による抗間葉系転換効果を検証した。現行の肺動脈性肺高血圧症治療に用いる各種血管拡張薬(prostacyclin、endothelin receptor拮抗薬、PDE-5阻害薬)に加えて、Rho-kinase阻害薬、imatinib、riociguatなどの効果を検証中である。またこれらの薬剤の併用による抗間葉系転換効果増強の有無についても検証予定である。 細胞実験と並行して、ラット肺高血圧モデルを用いて、in vitroの抗間葉系転換効果を検証する予定である。モデルとしては、VEGF-R拮抗薬(SU5416)+低酸素暴露ラットを使用予定であり、現在モデルラットの安定した作成にむけて準備を進めている。また、血管内皮間葉系転換関連転写因子のレンチウィルス発現ベクター作成およびHPMVECへの遺伝子導入による間葉系転換の誘導についてんの検証の準備をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はヒト臍帯血管内皮細胞を用いて実験を施行予定であったが、より病態に近いヒト末梢肺血管内皮細胞(HPMVEC)を用いることとなった。HPMVECは通常の細胞と比較して培養が難しく、適切な培養条件を設定するために、予想よりも多くの時間を費やした。また、TGF-βの刺激のみでは内皮間葉系転換が十分とは言えず、薬剤の評価に値する高度の血管内皮間葉系転換を起こすために試行錯誤が必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroでの各種薬剤の抗間葉系転換効果のさらなる検証(特に併用療法や、既存の肺高血圧治療薬以外の新規薬剤の検証)を継続する。新規薬剤の選択については、これまでに上皮間葉系転換(epithelial mesenchymal transition:EMT)を抑制すると報告されている薬剤から選択し、同様の抑制効果が血管内皮間葉系転換においても認められるか否かを検証する。
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