2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25461211
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土井 研人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80505892)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 急性腎障害 / 遠隔臓器障害 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
ICU症例においては、急性腎障害(acute kidney injury; AKI)を合併すると死亡率が有意に上昇すること、特に血液浄化療法を必要とするAKIは死亡率が50%を越えることが、多数の疫学的検討により報告されてきた。このような高い死亡率は、腎障害のみならずAKIにおける遠隔臓器障害が存在することを示唆している。本研究ではAKIにより誘導される心筋障害の有無を検討した。マウス腎虚血再灌流モデルを作成し、再灌流24時間後の心筋組織におけるミトコンドリア障害を電子顕微鏡およびミトコンドリア形態制御タンパク(Drp-1, Mfn-1, 2, Opa-1)の発現解析を用いて評価した。腎虚血再灌流後24時間の心臓では、sham群に比べミトコンドリアの断片化を著明に認め、心筋ミトコンドリア分画で、断片化を促進するDrp1がIR群で有意に増加していた。さらに、チトクロームC、活性化カスパーゼ3もIR群心筋組織で有意な上昇を示し、心臓超音波検査による観察では心収縮低下も伴うことが確認された。またDrp1阻害薬Mdivi-1の投与後にはミトコンドリア断片化が非投与群と比べて有意に抑制され、それに続くアポトーシス、心機能障害も改善した。以上より、腎虚血再灌流障害が遠隔臓器である心臓のミトコンドリア断片化とアポトーシス、その結果として心機能障害を惹起することが明らかとなり、Drp1がこの心腎連関に重要であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)