2015 Fiscal Year Annual Research Report
被嚢性腹膜硬化症におけるTヘルパー細胞の役割の解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
25461240
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
楊 景堯 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (90323302)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 被嚢性腹膜硬化症 / 腹膜透析 / Tヘルパー細胞 / Th2細胞 / Th1細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
腹膜透析の重症合併症である被嚢性腹膜硬化症の病態形成では、さまざまな要因が報告されているが、Tヘルパー(Th)細胞の関与は不明な点がまだ多い。本研究では、被嚢性腹膜硬化症におけるTh1/Th2/Th17細胞の役割解明を目的としている。研究代表者はTh1、Th2、Th17細胞優位発現マウスを独自に開発し、本研究ではこれらのマウスを用いて、Th細胞の分化制御と被嚢性腹膜硬化症の関係の解明を試みた。クロールヘキシジングルコネート投与による実験的腹膜硬化症モデルをそれぞれのマウスに誘導し、腹膜線維症の病態を解析した。Th1、Th2、Th17細胞が優位発現するT-bet過剰発現マウス(Th1優位)、GATA-3過剰発現マウス(Th2優位)、RORγt過剰発現(Th17優位)マウス、および野生型マウスに実験的腹膜硬化症を誘導した。その結果、GATA-3過剰発現マウスは、ほかのマウスと比較し、腹壁腹膜の肥厚、腹膜組織におけるα-SMAの発現、マクロファージの浸潤、III型コラーゲンの発現でいずれももっとも強い結果であった。一方、T-bet過剰発現マウスの病変はもっとも軽微であった。T-bet過剰発現マウスの腹水を検討したところ、IFN-γの高値を認めたため、野生型マウスにクロールヘキシジングルコネートとともにIFN-γを腹腔内に投与したところ、腹膜線維化の緩和を有意に確認できた。本研究の結果から、腹膜線維化の病態制御には、Th細胞およびそのサイトカインが関与していることが考えられ、またこれらを制御することにより、病態制御の可能性が示唆された。本研究結果により、有効な治療法のない被嚢性腹膜硬化症に対し、新たにTh細胞およびサイトカインの制御による治療法の有効性が示唆された。
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