2015 Fiscal Year Annual Research Report
Non-dipper型高血圧の発症における時計遺伝子の役割
Project/Area Number |
25461248
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中島 歩 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 特任助教 (40448262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 崇生 広島大学, 大学病院, 教授 (30397913)
東 幸仁 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (40346490)
河本 健 広島大学, 社会産学連携室, 特任教授 (50224861)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 時計遺伝子 / DEC1 / CLOCK / 血圧 / Na-K-ATPase |
Outline of Annual Research Achievements |
分子時計の促進因子であるCLOCK/BMAL1ヘテロ二重体は、PER, CRY, DEC1などの時計遺伝子プロモーター上の転写調節領域 (E-box) に結合して転写を促進し、合成されたこれらのタンパクは核に移行してCLOCK/BMAL1の転写抑制を引き起こす。この転写の促進と抑制の繰り返しが24時間の周期を作り出す仕組みである。PERおよびCRYがE-box に直接結合できないのに対し、DEC1はE-box に直接結合できる (Nakashima A, et al. Mol Cell Biol. 28: 4080-92, 2008)。そこで、DEC1が直接制御している遺伝子を網羅的に選定するため、抗DEC1抗体を用いてGenome-wide chromatin immunoprecipitation (ChIP)-on-chip assay を行ったところ、Na-K-ATPase beta 1遺伝子のプロモーター領域にDEC1タンパクが結合することを見出した。Na-K-ATPase は血管平滑筋の収縮、尿細管におけるNa再吸収、心拍出量の増加を介して血圧を調節しており、Na-K-ATPase beta 1のSNPsは本態性高血圧の一因であることが報告されている。 これまでの研究から、① Na-K-ATPase beta 1遺伝子のプロモーター領域にあるE-boxの転写活性は分子時計の促進因子であるCLOCK/BMAL1で上昇し、抑制因子であるCRY, DEC1で抑制すること、② 経時的に採取したマウスの大動脈・腎臓・心臓で、 Na-K-ATPase beta 1の発現レベルは夕方をピークとする24時間のリズム形成を示すこと。さらに、Dec1-/-マウスでは wild-typeマウスと比較してマウスの大動脈・心臓・腎臓における Na-K-ATPase beta 1の発現量が上昇し、分子時計の促進因子である CLOCKのmutantマウスでは Na-K-ATPase beta 1の発現量は低下すること、④ Dec1-/-マウスではwild-typeマウスと比較して有意に血圧が低下し、逆に、 Clock mutant マウスでは血圧が上昇することを明らかにしており、 Na-K-ATPase beta 1は時計遺伝子によって直接的な制御を受け、血圧の日内変動を調節する役割を有していると考えられる。
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Research Products
(1 results)