2015 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系に対する抗U1RNP抗体の病原性に関する研究
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25461472
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
藤井 隆夫 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70255462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 求 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (60512845)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / 抗核抗体 / 脳脊髄液 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性エリテマトーデス(Systemic lupus erythematosus, SLE)患者の精神神経症状(Neuropsychiatric SLE, NPSLE)は重篤な臓器障害のひと つであり、その髄液(Cerebrospinal fluid, CSF)中では様々な自己抗体や液性因子が認められ、NPSLEの病態に関係する。 精神症状を伴うNPSLE患者のCSF中において、抗 N-methyl-D-aspartate receptor subunit 2(NR2)抗体などの抗神経抗体が検出されること、CSF中抗NR2抗体 は血液脳関門(Blood Brain Barrier, BBB)の透過性と相関することが報告されている。一方で我々は、CSF中の 抗U1RNP抗体がNPSLEにおいて臨床的意義を有することを報告した。 中枢神経症状を有するNPSLE患者CSF中の抗NR2および抗U1RNP抗体、またIL-6などのCSF中液性因子を測定し、何らかの相加効果があるかどうかを検討した。その結果以下の結論を得た。 1)CSF中IL-8はBBBの透過性のみに依存すると考えられた。またこれらとBBBの透過性亢進との相関を検討した。 CSF-DP群では、CSF中IL-6およびMIGが他の群よりも有意に高かった。2) CSF-DP群とaNR2群との間でQalbに差は認めなかったことから、抗U1RNP抗体が、BBBの透過性をさらに亢進させることなく、抗NR2抗体に対して、CSF中IL-6やMIGを上昇させるような相加的作用を与えていると示唆された。3)CSF中IL-6は抗NR2抗体価と相関し、またBBBの透過性亢進にも影響を受けると考えられた。4)CSF中MIGはBBBの透過性に関係する一方、抗U1RNP抗体の影響も受ける可能性が示唆された。5)CSF中IL-8はBBBの透過性のみに依存すると考えられた。6)CSF中の自己抗体は、特異的症状との相関を認めなかった。 この中で特に抗U1RNP抗体が直接的にCSF-IL-6を上昇させる効果が乏しいにもかかわらず、抗NR2抗体依存性のIL-6を上昇させた点は興味深い。近年、抗リボゾームP抗体が抗NR2抗体と相乗効果を示すなどの論文があるが、それらとの機序の異同の検討が必要である。
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[Journal Article] Periodontitis and Porphyromonas gingivalis in Preclinical Stage of Arthritis Patients.2015
Author(s)
Hashimoto M, Yamazaki T, Hamaguchi M, Morimoto T, Yamori M, Asai K, Isobe Y, Furu M, Ito H, Fujii T, et al.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 10
Pages: e0122121
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Neuropsychiatric SLEにおける血液脳関門の透過性と脳脊髄液中の炎症性メディエーターとの関係2016
Author(s)
石郷岡 望, 藤井 隆夫, 近藤 聖子, 村上 孝作, 笹井 蘭, 橋本 求, 井村 嘉孝, 湯川 尚一郎, 吉藤 元, 田中 真生, 大村 浩一郎, 三森 経世
Organizer
第60回日本リウマチ学会総会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
2016-04-21 – 2016-04-23
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