2015 Fiscal Year Annual Research Report
幼弱脳におけるプロスタグランジンD2を介したミクログリア-神経相関の解明
Project/Area Number |
25461545
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
毛利 育子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 准教授 (70399351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷池 雅子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 教授 (30263289)
下野 九理子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 講師 (60403185)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミクログリア / 神経炎症 / 幼若脳 / 自閉症 |
Outline of Annual Research Achievements |
米国Autism Tissue Programから提供をうけた自閉症及び定型発達児の脳組織の解析を引き続き行った。結果自閉症脳18ケース(平均年齢14.7歳), コントロール27ケース(平均26.2歳)で検討したところ、ミクログリアのマーカーであるCD68陽性細胞およびHPGDS陽性細胞の有意な増加をみた。さらに、脳組織からmRNAを抽出し、定量的RT-PCRを施行, 自閉症脳でHPGDS mRNAの増加およびIL-6, TGF-beta mRNAの有意な増加を確認した。 自閉症モデルラットを用いた検討では、1週齢から7週齢までのラットを用い、脳組織のHPGDS,Iba1, GFAPの免疫染色を行った。 ヒトと異なりラットでは成体脳においてもミクログリアの発現が多く、HPGDSおよびIba1の発現もベースが高いことから自閉症モデルラットとコントロールラット間に明らかな差は認めなかった。 幼若マウスにHPGDS阻害剤を投与する実験では、HPGDS阻害剤投与群で体重増加不良を来すため、投与量および投与時期の調節を再検討する必要が出た。 マウス胎児脳前頭葉を用いたプライマリーカルチャーの系でPGD2の神経突起への影響を調べた実験では、PGD2受容体拮抗薬投与にて樹状突起数の増加を確認した。この事は、周産期の炎症性イベントによるミクログリアからのPGD2産生が、自閉症の本態である神経回路異常を引き起こすことを示唆する重要な所見であると考えられた。
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