2014 Fiscal Year Research-status Report
プリオン蛋白質欠損マウスを用いた、インフルエンザ脳症の発症機序の解明
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25461596
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
千田 淳司 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 助教 (20437651)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プリオン / インフルエンザウイルス / 重症化 / インフルエンザ脳症 / 多臓器不全 / サイトカイン / エネルギー代謝 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、プリオン遺伝子欠損マウス(PrP-KOマウス)にインフルエンザウイルスを感染させた結果、コントロールの野生型マウスと比べて、致死率が著名に高いことを見出した。この結果は、PrPはインフルエンザの重症化の阻止に関与している可能性を示す。そこで本研究では、PrP-KOマウスを用いたインフルエンザウイルス感染試験を実施し、インフルエンザの重症化におけるプリオン蛋白質の役割を明確にすることを目的とする。 平成25年度は、ウイルスを感染させた野生型マウスと比較し、PrP-KOマウスでは肺において 1) ウイルスの早期の複製が認められ、これが原因で炎症性サイトカインの過剰産生が起こること、2) 肺サーファクタントの血中への漏洩により、重症化が起こることを明確にした。 平成26年度は、PrPのモノクローナル抗体をウイルス感染前の野生型マウスへ前投与することにより、ウイルス感染後のマウスの生存率や体重減少を大幅に改善できることを見出した。さらに、マウス肺の培養系の確立に成功し、この系を用いた解析から、Srcファミリーキナーゼの阻害剤(Dasatinib)の培地への添加により、抗PrP抗体の予防効果が消失した。従って、抗PrP抗体のインフルエンザ重症化の予防効果には、Srcファミリーキナーゼが関与しているものと示唆された。 以上の結果を踏まえ、平成27年度は、1) PrPがインフルエンザウイルスの複製をどのような機序で抑制しているのか、2) 抗PrP抗体のマウスへの前投与により、何故、インフルエンザ重症化を予防することが可能なのか、3) この抗PrP抗体による予防効果に、Srcファミリーキナーゼがどのように関与しているのかについて明確にしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々の(エピトープの異なる)抗PrP抗体を用いたインフルエンザウイルス感染試験を実施し、平成26年度の到達目標であった、PrPのインフルエンザウイルスの感染防御に関与する領域をほぼ特定した。従って、本課題研究はおおむね順調に進展しているものと自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降の研究計画に基づき、研究を遂行する。また、本研究で得られた成果は本年度の国際会議で成果発表をするとともに、平成27年度中に論文投稿をする予定である。
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Research Products
(1 results)