2014 Fiscal Year Research-status Report
ダウン症における成長障害の発症機序 ―iPS細胞を用いた検討―
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25461643
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒堀 仁美 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40379186)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 染色体異常症候群 / iPS細胞 / 成長障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体異数性は生体に重篤な影響を与え、とくにダウン症候群をはじめとするヒトトリソミー症候群は多様な病態を呈する。なかでも成長障害は高頻度で見られる重要な合併症である。一般的に染色体の異数性に伴う非特異的な機序によって発症すると考えられているが、そのメカニズムはよく分かっていない。本研究では、トリソミー患者の臍帯血から樹立した疾患特異的ヒトiPS細胞をもちい、軟骨細胞系へと分化誘導することによって、本症に見られる成長障害の病態メカニズム解明を目指す。 初年度において、染色体のトリソミーではいずれも共通の細胞ストレス作用が存在し、細胞の増殖速度低下と細胞早期老化現象を引き起こすことが分かってきた。今年度はこの病態をさらに詳細に解析を行い、その発症に酸化ストレスの増大とエネルギー需要の増大が関与しているという結果を得ることができた。以前より酸化ストレスの増大が指摘されていた21トリソミーだけでなく、13・18トリソミーにおいてはさらに強い酸化ストレスが引き起こされる。これらの細胞では、グルコース摂取量・乳酸産生量が増大し、Flux Analyzerをもちいたエネルギー解析によっても嫌気性・好気性代謝の両方が亢進している。すなわちなんらかの原因によってトリソミーが引き起こすエネルギー代謝需要は、ミトコンドリアでの活性酸素種の産生増大につながるのであろう。このような細胞ストレスは細胞増殖に強い負荷をかけ、早期老化によって増殖が停止していまう。これはトリソミーにおける成長障害の基盤となっていることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トリソミーによって細胞へ強いストレスがかかる現象をあきらかにすることができ、さらにそのメカニズムについてひとつずつ明らかにすることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
トリソミー誘導性ストレスのメカニズムについてさらに深く詳細を調べるとともに、軟骨細胞へと分化誘導して成長障害に対する作用を明らかにしたい。
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Research Products
(2 results)