2014 Fiscal Year Research-status Report
うつ病における嗅覚機能異常に関する研究-fMRIによる病態解明
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25461773
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
奥谷 文乃 高知大学, 教育研究部医療学系, 教授 (10194490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 博一 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (70380326)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 嗅覚異常 / 精神神経疾患 / パニック障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
「うつ病」の診断により心療内科あるいは精神科に外来通院しながら、内服治療をうけてている患者に研究への協力を依頼し、同意された方に、嗅覚検査を実施した。質問票の回答、基準嗅力検査、匂い同定検査のいずれにおいても、明らかな異常を示した例がなかった。一方で、同様に通院治療を受けている「パニック障害」の患者では、8名全例が嗅覚に高感受性を持っていることが明らかとなった。年齢を考慮しても、基準嗅力検査で測定される認知域値が正常範囲の100~1000分の1という、高感受性を示した。いずれも自分が嗅覚過敏という自覚は無く、この8名に関してはにおいをきっかけとしたパニック発作の既往はなかった。 パニック障害患者の嗅覚に関しては「正常である」という報告はあるが、「過敏」を証明したものはなく、中枢神経系の中でも嗅覚伝導路に含まれる扁桃体の活動性が高いことがfMRIを用いて報告されている。われわれが見いだした嗅覚過敏は、中枢神経系の活動と深い関わりがあることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の目的は「うつ病」と対象とした、嗅覚異常のメカニズム解析であったが、これまでのところ、明確な嗅覚異常を訴える患者がおらず、次のステップであるfMRIの実施ができない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の対象である「うつ病」については、より重症で入院治療中であり、かつ研究に協力できる程度に回復した患者を選択し、研究への協力を依頼する予定である。一方で、うつ病に限らず、今回の実績で嗅覚高感受性を示した「パニック障害」患者、および嗅覚が深く関わる食行動に異常を来している「摂食障害」患者にも協力を依頼し、未だ解明されていない嗅覚機能と病態との関連を明らかにしていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究の進行が大幅に遅れており、本来研究に協力してくれる患者に支払うべき謝金として算定していた経費を使用することができなかったため、繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画を見直すことによって、対象とする患者の条件を変更し、謝金として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)