2013 Fiscal Year Research-status Report
68Ga標識オクトレオタイドを用いたPET/CT検査に関する研究
Project/Area Number |
25461816
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中本 裕士 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20360844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天滿 敬 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90378787)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 画像診断 / PET/CT / ソマトスタチン / 神経内分泌腫瘍 / カルチノイド |
Research Abstract |
Ga-68を溶出するためのGa/Ge generatorを秋に更新し、現在は水曜日と木曜日にそれぞれ1枠ずつ臨床研究としての68Ga-DOTATOC-PET/CT検査を施行している。神経内分泌腫瘍は多血性の腫瘍が多い特徴を有することから、通常の低線量の単純CTに加えて、PET検査後に体位をかえずに造影CTを施行し、動脈相と平衡相の形態画像を得ることもあり、DOTATOCの集積部位を診断用の造影CTと融合させることで、他の画像診断法では明らかでなかった病変を明瞭に描出できることがある。平成25年度は、77例の新規登録例があり、特にトラブルなく検査が施行され、臨床研究としての画像診断をおこなってきている。臨床的に神経内分泌腫瘍が疑われ、従来の画像診断で不明な状況において、当該臨床研究のDOTATOC-PET/CT検査がどの程度の診断精度を有するのかを検討した。平成24年度までの症例も含めての解析では、全32人のうち、転移巣から神経内分泌腫瘍が証明された場合の11人中7人(64%)で有所見が得られ、そのうち3人で病理学的な裏付けが得られた。神経内分泌腫瘍の術後の転移・再発巣検索にて、ホルモン値上昇などで再発が疑われた7人では、6人(86%)で有所見が得られ、治療法の決定に役立った。一方、ホルモン値の上昇などにより、神経内分泌腫瘍が疑われている14人では責任病巣の同定につながった症例は1人もいなかった。病理学的な神経内分泌腫瘍の術後に転移・再発が疑われ、FDG-PET/CT検査を含む他の画像診断法で不明な場合には、DOTATOC-PET/CT検査は有効な画像診断法のひとつであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DOTATOC-PET/CT検査は神経内分泌腫瘍や腫瘍性骨軟化症など、比較的まれな疾患が対象となり、1施設からの紹介には限りがある。これらの疾患を扱う消化器内科、肝胆膵移植外科、内分泌代謝内科の当施設以外の医師に認知されるようになったため、依頼件数は確実に増加している。一方で、一体型PET/CT装置が当施設に1台しかないため、検査枠は週に2回に限られており、平成26年4月現在、検査待ちは1ヶ月となっている。PET/CT装置が増えるともう少し件数を増やすことが可能であるが、高額機器であるため簡単に導入できるものではない。検査数を増やして、解析対象の症例を増加させたいところであるが、このような制約の下に、貴重な検査枠を着実に利用して症例を蓄積しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
1.神経内分泌腫瘍の原発巣・転移巣検索における臨床的有用性を評価するために、現在の検査体制を継続することで症例の蓄積に努める。 2.神経内分泌腫瘍以外でのソマトスタチン受容体イメージングの臨床的有用性として、腫瘍性骨軟化症の責任病巣の検索に利用できるかもしれないという症例報告がある。これを検証すべく、腫瘍性骨軟化症の症例蓄積に努める。もともとまれな疾患であることから、当該検査が行われていることをさらに周知していく。 3.全身の炎症性疾患の一つサルコイドーシスに対してIn-111標識オクトレオタイドを用いた報告があるが、Ga-68標識製剤によるエビデンスは確立していない。サルコイドーシスに対して診断精度がどのようなものか、従来のガリウムシンチグラフィと比較しながら検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
解析のためのデータを蓄積中で、データ管理や論文作成に必要な人件費、英文校正費などが算定されず、また前年度からの消耗品の蓄えがあったため、薬剤合成に必要な物品の購入に対する支出をおさえることができた。 今後の症例の蓄積に伴い、消耗品の補充、学会発表や論文発表を行うための算定が必要になると考えられる。
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Research Products
(3 results)