2015 Fiscal Year Annual Research Report
NF-kB抑制分子を介した関節リウマチ由来滑膜線維芽細胞のTNF応答増幅機構
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25462390
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
五十嵐 英哉 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (40291538)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ABIN / NEDD4L / 関節リウマチ / 滑膜線維芽細胞 / NF-kappaB / ユビキチン / E3ユビキチンリガーゼ / アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
NF-kappaB抑制分子ABIN(A20 binding NF-kappaB inhibitor)ファミリーを形成するABIN-3を過剰に発現させた関節リウマチ由良ヒト滑膜線維芽細胞では、細胞の紡錘状形態変化、増殖能の低下、アポトーシスの増加、マトリックスメタロプロテアーゼの発現低下、アルデヒド脱水素酵素の発現低下、TNFレセプターシグナル伝達分子TRAF1の発現上昇、Erk及びAktのリン酸化の低下(すなわち活性化の低下)など、非常に多彩な細胞機能的・生化学的変化がABIN-3たった1分子の発現増加によってもたらされることがわかった。ABIN-3自身には酵素活性はないが、ユビキチンと結合するドメインが存在するため、会合するユビキチン化タンパクの機能変遷によってこれらの多彩な変化がもたらされるのではないかと考え、免疫沈降法によって共沈するタンパクを同定し、質量分析法によってABIN-3会合分子を決定した。複数の特異的分子が決定された中でE3ユビキチンリガーゼNEDD4Lに着目した。NEDD4Lの標的分子は多岐に亘るが、ナトリウムチャンネルに会合するNEDD4Lの変異はLiddle症候群の原因として有名である。ABIN-3のC末にはNEDD4Lとの結合配列であるPYモチーフ(PPXY)が存在している。PYモチーフ内のプロリンをアラニンに置換した機能喪失型ABIN-3変異体を作製しヒト滑膜線維芽細胞で発現させたところ、ABIN-3発現細胞で見られた形態変化が消失するにもかかわらず、種々の分子の発現、活性化に及ぼす影響には変化がなく、さらなるアポトーシスの増加が明らかとなった。従ってPYモチーフを含む相同配列の阻害ペプチドを併用すれば、異常増殖している滑膜線維芽細胞に細胞死を効率的に誘導し、関節リウマチにおける全身的な副作用の少ない局所療法につながるのではないかと期待している。
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Research Products
(5 results)