2015 Fiscal Year Research-status Report
向精神薬服用患者に対する安全な全身麻酔管理に関する基礎的研究
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25462400
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
佐々木 利佳 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10345572)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 向精神薬 / 海馬 / シナプス伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
《背景》臨床において精神疾患患者を麻酔する機会は増加しつつあるが,向精神薬による全身麻酔薬作用の修飾は明らかでない.今年度は、臨床的に安全性の高い鎮静剤と期待されている、新しく開発された水溶性・非ベンゾジアゼピン系鎮静剤JM-1232(-)(以下JM)について、JMの中枢神経作用および加齢による修飾効果をin vitroで検討し,静脈麻酔薬チオペンタール(TH)のそれと比較した.
《方法》雄性Wistarラット(6ヶ月齢:E群, n=5)および対照ラット(4週齡:Y群,n=5)を麻酔後,大脳を摘出し海馬スライスを作製した.シャーファー側枝を電気刺激することにより,海馬CA1錐体細胞の集合電位(PS)を誘発した.海馬白板にプレパルスを与え,GABA作動性介在ニューロンによる反回性抑制の効果を検討した(recurrent inhibition enhanced circuit: RIE) 《結果》RIEにおいてJM(1μM)は,E群およびY群のPSを抑制したが(47±25,44±13, %control)両群間に有意差は認められなかった.一方,TH(10μM)はY群のPSを著明に抑制したが(31±10%),E群における効果は有意に少なかった(61±21%). 《結語》 JMとTHは,抑制性シナプス伝達を促進すると考えられた.THの中枢神経作用は加齢の影響を受けたが,JMは年齢依存性が少なかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本大学の耐震化工事のため、昨年度に引き続き、実験は中断せざるを得ない状況であった. 本年度、秋の工事終了とともに引っ越し後、実験室の再構築を行った結果、今冬より実験開始可能となった. 実験室再開後に、向精神薬ラット作成のために必用な小動物用驚愕反応測定装置を購入、搬入することができた.搬入時期が遅れたため、向精神薬ラットの作成は次年度へ延期となった.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、向精神薬ラットを作成し、我々の研究してきた抑制性シナプス伝達モデル、ならびに海馬/扁桃体スライスモデルを用い、全身麻酔薬の作用ならびに新しく開発された水溶性・非ベンゾジアゼピン系鎮静剤JM-1232(-)の作用について検討する.
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Causes of Carryover |
昨年度から引き続いた当大学の耐震化工事のため、長期間にわたり実験室が稼働できなかった.実験動物搬入や新規に購入予定であった物品の購入時期を延期したため、今回残額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度冬より実験室は稼働可能となったため、今年度3月に購入した小動物用驚愕反応測定装置を使用し、当初の目的であった向精神薬モデルラットを作成する.このモデルラットを使用して、向精神薬ラットにおける全身麻酔薬作用の修飾、扁桃体への影響などについて研究を進める予定である.
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