2015 Fiscal Year Research-status Report
内因性NOS阻害物質代謝酵素の導入による肺血圧低下効果
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25462447
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
新堀 博展 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員准教授 (60404993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 至 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (20534142)
水野 祐介 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (80433192)
川上 裕理 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (90407958)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺高血圧 / 一酸化窒素合成酵素阻害物質 / arginase / 一酸化窒素 / ADAM |
Outline of Annual Research Achievements |
一酸化窒素(NO)は生体内で血管拡張等の様々な生理的機能を担っている。内因性の一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害物質ADMAは肺高血圧で増加し、NO産生を低下させることが示唆されている。ADMAはNOS の基質であるl-arginineがジメチル化された物質であり、l-arginineと競合してNOS活性を低下させる。 我々はMCT誘発肺高血圧ラットにおいて内皮依存性弛緩反応の減弱、NOS活性が低下していることを認めた。そこで、NOS活性、NO産生に影響と及ぼす可能性のある物質、酵素を検討したところ、肺高血圧モデルの肺組織内のADMA増加とNOS活性の低下を認めた。更にADMAを代謝するDDAH1,DDAH2の発現低下とADMA合成促進に作用するPRMT2の亢進を認めた。 一方で、NOSと同様にl-arginineを基質とする酵素arginineの発現更新も認められた。更に、肺血管リング標本において、肺高血圧ラットにおいて減弱したない非依存正反応がarginase阻害薬存在下では改善傾向を示した。これによりNOS活性の低下の一因として、発現の亢進したarginaseがNOSと共通の基質であるl-arginineを消費し、結果的にNOS活性、NO産生、内皮依存性弛緩反応減弱に関与している可能性が示唆された。 以上から、肺高血圧モデルにおけるNOS活性低下には内因性NOS阻害物質の増加に加え、arginaseの亢進も関与し、複数の経路が関与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NOS活性を制御する物質のスクリーニングすることで、複数の経路が関与していることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
肺高血圧モデルにおけるNOS活性低下には内因性NOS阻害物質の増加に加え、arginaseの亢進も関与し、複数の経路が関与していると考えられた。それぞれの経路の肺高血圧における関与の程度は明らかでない。ADAMの抑制も検討課題であるが、arginaseに関し肺血管リング標本では、arginaseは阻害薬を使用し、一定程度の関与の可能性が示せたことから、今後循環動態への影響を検討する。
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Causes of Carryover |
内皮依存性弛緩反応減弱にarginase亢進が関与していることが判明し、想定していたメカニズム、すなわちDDAHの減弱によるADMA亢進との見極めを検討する必要が出てきた。そのためDDAH活性を増加させるための遺伝子導入等は、arginaseの役割についての検討を行ってから行う必要が生じた。現在得られたデータではarginaseは一定の関与が推定される。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
まず内皮依存性弛緩反応減弱におけるarginase活性亢進の役割を検討するため、血管リング標本、循環動態においてarginase阻害剤等を使用し、関与の程度を検討する。
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