2013 Fiscal Year Research-status Report
全身麻酔薬による臓器保護作用発現に関与するマイクロRNAの同定
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25462459
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
片山 浩 川崎医科大学, 医学部, 教授 (90161067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 義彦 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (00287848)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 全身麻酔 / 臓器保護 |
Research Abstract |
1. Wistarラットを用いて全身麻酔、人工呼吸下に呼吸、循環、体温などの生体条件を安定させた状態を維持する手技を確立した。 2. さらに開腹して両側の腎門部をクランプ、デクランプすることにより腎虚血再潅流モデルを安定して作成する技術を確立した。 3. 開胸手術によって左肺門部をクランプ、デクランプすることにより肺虚血再潅流モデルを安定して作成する技術を確立した。 4. 2.において虚血、再潅流をそれぞれ1時間とする実験プロトコルを確立した。また対照群として開腹操作のみを行った。3群目として実験プロトコル全体にわたって吸入麻酔薬セボフルランを投与し、吸入麻酔薬の臓器保護効果を調べる実験の技術を確立した。 5. 4.において対照群、虚血再潅流群、虚血再潅流+セボフルラン群で腎標本を採取した。一方は液体窒素で凍結しウェスタンブロットなどを行うために保存した。もう一方の腎はRNA laterで保存の上、RNA解析を専門の業者に依頼した(現在解析中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. Wistarラットにおいて安定した状態で全身麻酔をおこなうための手技が確立できた。 2. 腎虚血再潅流モデル作成の手技を確立し、さらに吸入麻酔薬セボフルランの臓器保護作用がマイクロRNAに及ぼす影響を調べるべく標本を採取し、RNA解析を行うまでに至った。 3. 初年度の目標であった1. 2.を達成した上に、開胸手術による肺虚血再潅流傷害モデル作成手技を確立できたため、腎と同じプロトコルでウェスタンブロットやマイクロRNA同定を行うよう、次年度の研究計画が明確に立てられている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 腎のRNA解析結果から、虚血再潅流傷害に影響しているマイクロRNAを同定する。 2. さらに吸入麻酔薬セボフルランが及ぼす影響についても考察する。 3. 凍結保存した腎標本を用いてウェスタンブロットを行う。 4. 肺でも同様に虚血再潅流傷害モデル作成の手技が確立しているため、腎と同様に実験を行い、ウェスタンブロット、RNA解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Wistarラットを全身麻酔し、人工呼吸下に安全に呼吸、循環、体温などを維持する手技を完成させることに若干の時間を要した。これは将来的なプロトコル拡大に向けてかなり厳密な状態を保つことを前提としたため多くの条件を試したためである。また、その手技を用いて腎の虚血再潅流傷害モデルを作成することに成功したが、ウェスタンブロットなどの生化学的考察は、肺など他臓器の標本がすべて揃ってから行うこととしたため、臓器は凍結保存とし平成25年度には行わなかった。これは実験の条件を極力揃えること、使用する抗体の鮮度を考慮し、無駄なく安定したデータを得るための配慮である。またRNA解析はみずから解析用のキット(約40万円)を購入する事を当初予定していたが、専門の業者に受託する方が安価で確実なデータを得られることが判明し、そちらに変更した事も大きな要因である。 肺に関しても虚血再潅流傷害モデル作成の手技を確立したため、腎と同様に虚血再潅流傷害を受けた肺に関してもRNA解析を行う。また前年度から凍結保存している腎とともに肺もウェスタンブロットなどの生化学的考察を行う。平成25年度の繰越額は平成26年度請求額と合わせて、このRNA解析(解析受託)および生化学的考察(抗体、試薬購入)に用いる。
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