2013 Fiscal Year Research-status Report
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25462544
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
田中 宏光 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (10263310)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Licorice / Isoliquurutingenin / Herbal medicine / Flavonoid / Sperm / Fertilization / Egg / IVF |
Research Abstract |
近年、自然界の様々な生物の性の異常や生殖能力の低下が報告され、ヒトにおいても精液中の精子数が減少している。また、先進国では7組のカップルに1組以上が不妊症と報告され、不妊症の約半数が男性側の要因であり、男性不妊症の約半数が原因不明の男性不妊症である。 近年では晩婚化が進行し、年齢を考慮すると不妊治療は迅速に施されることが望まれており、不妊症患者の病因の詳細な検討の時間は少なく、多くが治療の第一に顕微授精(ISCI)を選択している。 これまで私たちは、精子細胞特異的遺伝子の遺伝子変異やSingle Nucleotide Polymorphismが男性不妊症の原因であることを突き止め、遺伝子診断によって男性不妊症の全体の10%の原因遺伝子を明らかにする系を確立した。原因が明らかになることにより、患者の精神的負担は和らぐが、治療法はICSIが主流である。 最近、私たちは生薬の甘草が体外受精の効率上昇させること突き止めた。本研究では、甘草を用いた受精率を上げる体外受精の系の開発と、甘草以外の不妊症に対して有効な生薬等の開発を進めた。その結果、甘草の成分の内、Isoliquurutingeninがマウスの体外受精において有効成分であることを明らかにした。甘草を体外受精培地に添加が胚発生および個体の正常な発生を害さないことや、培地への添加濃度を調べ国際学術雑誌に投稿中である。今後、他の有効成分の同定と成分同士の相乗効果や安全性について検討し、さらに作用の分子メカニズムについて解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
私たちは、甘草に含まれる成分が試験管内で授精能を向上されることを明らかにし、成分の同定に成功した。これらの事実に関して特許の申請を行った。本研究では、①甘草から試供品レベルの活性画分を調整し、②画分から活性物質を同定する。③マウスなどの実験動物の体外受精の現場においてにおいて体外受精が非常に困難なラインの保存時に、活性画分を使用し効果を検討する。④同時に私たちがこれまで得た雄性不妊症遺伝子破壊マウスの体外受精に効果を検討する。⑤畜産農家に試供品を提供し、牛などの人工受精時に使用していただき(適時)、さらには、現在用いられている甘草経口投与を不妊患者に対して使用していただき、妊孕性回復効果を調べる。⑦活性成分が同定できしだい同様に雄性不妊症に与え効果を調べ、⑧分子生物学の手法を用いて作用メカニズムを解析する。 本年私たちは、体外受精の効率を上げるために、甘草の添加至適濃度を決定し、胚発生および個体発生に異常を及ぼさないことをマウスで明らかにした。さらに、甘草成分の内、体外受精効率上昇の有効成分の一つがIsoliquurutingeninであることを突き止めた。これらの事実は初期の計画に照らして、本研究が順調に進展し、初期の予想のとおり進行していることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は計画のとおり研究を遂行することができた。本年は、初期計画のとおり、雄性不妊症マウスに甘草を与え、不妊症が回復するか検討したい。さらに、共同研究者からの依頼に従い、ヒトや牛などの家畜の精子に与える影響について解析すすめる。本年、体外受精効率上昇の有効成分の一つがIsoliquurutingeninであることが明らかになった。ほかの甘草に含まれる有効成分の探索、及びそれら有効成分の至適濃度の解析、それらの結果に基づいた有効成分が精子に与える分子のメカニズムの解析を進める。
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