2013 Fiscal Year Research-status Report
周閉経期女性における男性ホルモンの果たす役割についての検討
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25462596
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
安井 敏之 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40230205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 寿美佳 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (00622888)
苛原 稔 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20160070)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 周閉経期 / テストステロン / DHEA-S / スクレロスチン / アディポネクチン / ホルモン補充療法 |
Research Abstract |
1. 横断的検討として、のべ1161例の女性を対象に周閉経期を月経状況とFSHレベルから7群に細分化し、男性ホルモンを中心とする内分泌パラメーター(テストステロン、DHEA-S、SHBG、LH、FSH、エストラジオール)、脂質代謝および骨代謝パラメーター、肝機能、腎機能などの動態を明らかにした。脂質代謝パラメーターおよび骨代謝パラメーターは、一すべて閉経後になってから変化するのではなく、変化を示す時期に違いがみられることが明らかとなった。 2. インスリン抵抗性関連因子のうち、アディポネクチンは周閉経期にU字型を示し、時期によってはテストステロンと逆の相関を示した。このことは高分子アディポネクチンについても同様の傾向であった。 3. 骨代謝関連因子として、スクレロスチンに焦点をおいて測定した。キット間の差がみられることから、測定キットを変えて妥当性を検証した。これまでに得られた結果から、スクレロスチン周閉経期の初期に一過性の増加を示したが、その後は大きく変化しなかった。 4. 両側卵巣摘出前後の状態を周閉経期と比較して動脈硬化関連パラメーターであるIL-8、MCP-1、IL-7の動態を測定し、現在男性ホルモンの変化との関係について解析中である。 5. HRTによる男性ホルモンの変化として、DHEA-S、テストステロン、遊離テストステロン、SHBGの動態を検討した結果、DHEA-Sが低下する可能性がみられた。レジメンによる比較では、経口結合型エストロゲン(CEE)ならびに経口エストラジオール(E2)はいずれも投与3ヵ月後にSHBGは増加し、その後はほぼ一定であった。一方、経皮E2については有意な変化がみられなかった。また、経口でのSHBGの変化はアンチトロンビンIII(ATIII)の低下と有意な関連を示したが、経皮E2ではSHBGの変化はみられないがATIIIは低下した。これらの変化は男性ホルモンの変化と関連しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 研究実施計画にそって、横断的研究について周閉経期の各対象者の数に偏りがみられるものの対象女性のリクルートは順調に行われており、測定も順調に行われている。ただし、スクレロスチンの測定については、キット間で測定値にばらつきがみられたことから、同一検体で測定するなど妥当性を検証するために時間とキットを要している。当初は、Uscnのキットで測定していたが、再現性に乏しく、またcoefficient variation(CV)も大きかったことから、現在はBiomedicaのキットに変更して測定を行っている。Biomedicaのキットを用いた結果では再現性も良く、CVも数%であることから本キットで検討することとし、現在測定を開始している。 2. 両側卵巣摘出前後での女性のリクルートについては、もともと両側卵巣摘出術をうける症例が多くないことから、少し時間を要している。 3. ホルモン補充療法(HRT)による検討については、HRTを必要とする女性が多くないこと、本邦女性は症状があってもHRTに対して消極的であることから、対象者のリクルートに時間を要している。 しかし、全体的には本研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 横断的研究について解析に必要な症例数が確保できた段階で、男性ホルモンとの関係を検討するための解析を行う。両側卵巣摘出前後女性ならびにHRTを施行する女性については症例のリクルートに努め、測定についても順次行う。また、周閉経期女性ならびに両側卵巣摘出前後女性において、縦断的検討を行う。 2. HRT施行による種々のパラメーターについて、レジメン毎の検討を行う。特に、経口CEEと経口estradiolとの違い、経口estradiolと経皮estradiolとの違い、通常量と低用量といった投与量による違いに焦点をおいて検討し、男性ホルモンとの関連を検討する。 3. 周閉経期におけるIL-8、MCP-1、IL-7の変化について、男性ホルモンの変化との関連について検討する。 4. 乳癌治療に用いられるアロマターぜ阻害剤やタモキシフェンについて、自然閉経と同様にエストロゲンは低下するが、男性ホルモンの動態について検討し、脂質や糖代謝パラメーターや骨代謝パラメーターとの関係を明らかにする。 5. 基礎研究として、成熟期のメスラットを用いてTやDHEA-Sを種々の濃度で投与し、血管内皮におけるMCP-1やIL-8mRNAの発現レベルを検討する。
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Research Products
(11 results)