2013 Fiscal Year Research-status Report
嗅覚器及び嗅球の神経細胞数のステレオロジーを用いた定量解析
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25462661
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
川岸 久太郎 信州大学, 医学部, 助教 (40313845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 菜奈恵 信州大学, 医学部, 准教授 (90334888)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 嗅神経 / 神経総数 / 神経解剖 / 嗅覚 |
Research Abstract |
齧歯類には4種類の嗅覚器、すなわちGrueneberganglion・鋤鼻器(Vomeronasal organ:VNO)・Septal organ・主嗅上皮(Main olfactory epithelium: MOE)が存在していることが知られている。しかし、マウスにおいて嗅覚器の嗅神経細胞数を正確に計測した研究はなかった。 マウス主嗅上皮に存在する嗅神経細胞の総数を明らかにすべく、雌雄のC57BL/6Jマウスの成獣(8週齢)の頭蓋骨を鼻腔を含めて採取し、脱灰したのち、100マイクロメートル間隔で10マイクロメートル厚の切片を作成した。切片は成熟し機能している嗅神経細胞に特異的に発現しているOlfactory Marker Protein (OMP)に対する抗体を用いた免疫組織化学法による染色を行った。その後、マウス嗅覚器の中で最も大きい主嗅上皮に存在する嗅神経細胞をStereologyの手法を用いて計測した。 その結果、成獣(8週齢)のC57BL/6Jマウスの1側主嗅上皮におけるOMP陽性嗅神経細胞の総数は雄では5,140,000±380,000個、雌では5,210,000±380,000個であることが明らかとなった。また8週齢のC57BL/6Jマウスの主嗅上皮に存在するOMP陽性嗅神経細胞の数は統計学的に性差は認められなかった。 これらの結果、マウスの一側主嗅上皮におけるOMP陽性嗅神経細胞の総数が約5,000,000個であることを初めて明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は各種実験動物(齧歯類)の標本作成を主として行っており、ラットにおいては新生児(P0)、4週齢、8週齢、12週齢、6か月齢、1年、2年の標本作成を行った。これらの標本は抗OMP抗体を用いた免疫組織化学法による染色を実施しており、現在Stereologyの手法を用いた計測が進められている。 また、今まで遺伝子解析によく用いられていたにもかかわらず主嗅上皮に存在する嗅神経細胞総数の報告がなかったマウス(C57BL/6J)においては8週齢における標本を作製し、主嗅上皮内のOMP陽性嗅神経細胞数の計測をStereologyの手法を用いて行った。その結果、マウスの一側主嗅上皮におけるOMP陽性嗅神経細胞の総数は性差なく、約5,000,000個であることを初めて明らかとすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在齧歯類における嗅覚器の比較を行うため8週齢のWistarラットの主嗅上皮に存在するOMP陽性嗅神経細胞の総数をStereologyの手法を用いて計測を行っている。また、成長に伴う各種嗅覚器の変化を明らかとするために新生児期(P0)、成獣期から老齢期にかけての各齢のラットにおいてもOMP陽性嗅神経細胞の総数の計測を行う。 また齧歯類の鼻腔内には主嗅上皮を含め、Grueneberganglion・鋤鼻器(Vomeronasal organ:VNO)・Septal organ・主嗅上皮(Main olfactory epithelium: MOE)の4種類の嗅覚器が存在していることが知られているため、他の嗅覚器、特に鋤鼻器におけるOMP陽性嗅神経細胞の計測も併せて行う予定である。
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